感染症診療のビギナーどもへ

もう毎回毎回同じこと言うのも疲れてきたよ俺は。

口の中がカラカラになるまであーだこーだとしゃべってこちとらライフを極限まで削って教えてんのに月が替わったとたんにブランク状態の研修医がまた回ってくるんだよ。「あれ?セーブ機能付いてないの?」「復活の呪文方式?」みたいにうろたえるこちらの気持ちなんて知りもせずにね。
この輪廻から抜け出したいんだよ俺は。
もう堪忍袋の緒があれなので、とりあえず全員これでも読んでろ的なサムスィングをここに残しておきたい。そう思ったの。

お前たちが感染症を苦手としている理由を俺は知っているよ。まず単純に知識が足りていない。英会話学習でいうところの英単語。これを知らなきゃ始まらない。察しの良いお前らのことだから、英単語を知っているだけでは英語はしゃべれないということにもう気づいているよね。身振りと単語でつなぐ急場しのぎのコミュニケーションではなく、お前たちが日本語でやり取りするようなスムーズなやり取りを行うには、ある程度の文法を知っている必要があるわけ。つまり考え方の「型」のようなもの。知識と考え方が身についてもまだ英語はしゃべれない。これらをもとに、アウトプットを繰り替えし、実際に使える英語にしていく必要がある。感染症診療でも同じなのよ。導き出した方策によって物事がどう動いたかをみて、そこから得た教訓を次に活かしながら絶えずブラッシュアップしてくわけ。

つまり、感染症診療に必要なものは
①知識
②考え方の「型」
③アウトプット
この3つだ。

お前らが陥りやすい思考は、「自分に足りないのは抗菌薬や細菌に関する知識で、そこが解決すれば多少は自信をもって診療ができるだろう」というものだ。現に感染症科を回ってくる研修医の10人中31人が「この1ヶ月で抗菌薬の使い方を勉強したい」とか言いながらやってくるんだよ(当社調べ)。知識が足りていないことは自覚できているみたいだが(よく考えるとそれもどうなんだ)、お前らに足りていないのは、知識はもとより圧倒的に考え方の「型」なんだよ。すでに言った通り、単語を知っているだけは会話はできない。単語をつないで意味の通る表現に組み立ててなければならないの。あとここまで例えに使ってて申し訳ないけど、俺は英語は話せない。

お前らが「勉強はしたくないけど同期に一目置かれるぐらいには優秀でありたい」みたいな反吐が出る発想の奴らばかりだということを十分理解しているから、ダチョウ並みの脳みそしかないお前らにも十分理解できるような現場で使えるエッセンスを順次伝授してやる。それはもう、ありがたく聞いたらいいと思うよ。よろしくね。

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