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飲食店の店舗空間とデザイン/Pizza4P'sがデザインを通して伝えたいこと

飲食店で3つの重要ポイントとしてあげられるのが、”フード、サービス、店舗”、その中でも店舗空間に関して書いてみます。

僕の仕事のメインのひとつが店舗開発ですが、この店舗をその中で多くのデザイナーさんとのやりとりさせていただきました。現在4P'sはベトナム全土に20店舗ありますが、特徴としてはすべての店舗でデザインを1から考えております。また僕自身も一応建築学科卒で店舗デザインに関して興味は強くいろいろと学んできました。今回は近々に手がけた3つのプロジェクトの店舗デザインの紹介とともに書いてみます。

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店舗計画に関しては、それこそデザインだけでなく、コスト、ME(機械工学、電気や設備関連)、法律等のことから、スタッフ動線、オペレーション、席の配置や割合等まで幅広く関わっていますが、今回は4P'sの特徴である店舗のデザインやコンセプトの部分にFocusして書いてみます。

基本的に飲食チェーン店では同じデザインやスタンダードなレイアウトを適用することが基本です。マニュアル化されたオペレーション、決められたキッチン、コスト、決められた工期や機能面等を考えても、店舗の度に変更するのはそういった面ではかなり大変です。

それでも最高の店舗空間を目指す上では、本来その立地や空間の特徴(店所の高さ、柱の形、窓の位置、もとからある壁素材等)によってあるべき姿は変わってくるはずです。また人によって居心地のよい空間や好きな雰囲気というのは違ってきます。また4P'sでは、以下の3つのコアコンセプトを、店舗空間を通じて、お客様に伝えるように心がけております。その上で常に新しい創造性やメッセージを受け取ってもらうことを心がけております。


1.Creative (創造力)たとえばどこにでもあるコンクリート壁やレンガに価値をみつけ創造力をつかって、魅了的なものに変えたり、意味をもたせる。使い方、組み合わせ方を考えて、空間を通してメッセージを伝える。創造力は人によって違った特徴があり、多様なデザイナーに店舗に応じて任せることで、それぞれの店舗に違った創造力が持ち込まれて個性になっていく。

2.Authentic(本物/正統)本来あるもの。人工的な大量生産によるものではなく、本物の価値のあるものを使う。価値というのは、金額的な価値ではなく、古くからある伝統的なものや手法、その文化等に価値があるものを含む。経年変化も大事なものとして捉えていく。

3.Sustainable (持続可能)サスティナブルな素材だけでなく、今あるものを活用することも含む。たとえば店舗を改装するとき、すくなくてもそこにはもとからの柱や、特徴のある壁等が存在する。それらを使うのが、余分に資源を使わないことになる。またわかりやすく、今あるものをリサイクルしたり、捨てるはずのものを別の素材として使ったりもする。


飲食店の空間として居心地の良さやクリンリネスを維持しながらも、上記3つを通して、社会課題の解決、新しいライフスタイルの創造、本質的な意味、伝統文化の保存等を通して、レストランの価値の再創出といった部分を目指しております。店舗でのお客様体験全体を向上させるために、店舗は増やしながらも、個人店にもまけない魅力ある店舗空間を心がけてます。

その上で近々に手掛けたPizza4P'sの3つのプロジェクトでどのように3つのコンセプトをどう伝えようとしているかを書かせていただきます。


-ダナン、Indochina店

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こちらPizza4P'sのカラーであるインディゴカラーを、藍染職人と日本人デザイナーとともに作り上げた店舗です。ベトナム北部に伝統的に伝わる藍染手法があるのですが、やはりベトナムでも近代化による人工的なコストの低い染料が浸透してきており、どんどんと文化が失われてきております。伝統文化を守るため、カーテンだけでなく、もっと長くそこにあり続けて変化する藍染壁自体を、実験を重ねて作りました。この藍染の詳細や、製法等はぜひ以下の記事を読んでみてください。本当に良い記事です。

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また伝統保持だけでなく、それをどう近代的なものと調和させていくかを考えており。上記のグレーのブロックは、近代的なサスティナブル表現の一つとして捨てるプラスチックを再利用して作ったものです。それを自然の木と組み合わせております。

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サスティナブルはこのテーブルでも表現しております。こちらはレストランで提供して飲み終わったワインボトルを砕いたものをテラゾーとして使っております。シンプルなデザインの中に、Creative、Authentic、Sustainableを存分に表現したデザインとなっております。


-ハノイ Vincom Phan Ngoc Thanh店

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一般的なショッピングセンターの中でもPizza4P'sらしさをどう表すかを考えぬいた店舗です。もとからそこにあったビルの構造の円形の柱を活かしております。この場所の敷地の形、柱の形を可能なかぎり活かすように設計されてます。またレストランの主役である料理に商店をあてられるようにできるように、料理のギャラリーをコンセプトにデザインした店舗です。ギャラリーらしく、全体的な色味はグレーで統一。その中で5種類の素材感、光沢、色の異なる違ったコンクリートを場所ごとに使用して、コントラストをだしてます。

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照明もスタッフが料理を提供したときに、スポットがあたるように設計されてます。あくまで料理が主役です。

またこのテーブルも全体に合わせてコンクリートですがここでも4P'sのサスティナブルの表現として、サーブするお皿の破片を使っております。

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どうしても営業中にお皿が割れてしまうことは多く、店舗が増えるに渡ってこの量はどんどん増えていってしまい。どうにか再利用できないかと考えていてこのアイデアにいきつきました。皿の素材とテーブルの模様の素材は全く一緒なので、まったく主張せず溶け込みます。料理に焦点をあてるコンセプトともマッチしております。

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-ハノイ Hoang Thanh Tower店

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こちらはベトナムの伝統的な家屋、モン族の家をコンセプトとして彼らの文化を表したデザインです。モン族の伝統的な家屋は真ん中の空間を中心として、3つの部屋からなるのですが、真ん中の空間と4P's のメインであるピザ窯としてそこを登った先に3つの空間を異なる伝統素材で表現されてます。Authenticをどう落とし込むかに、Creativeを使いデザインされたものです。

モン族の家に関しては以下の記事がとても良く書かれております。


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以下の部屋は石壁を表してます。場所によって積み重ね方を変えてます。外側には上の生地にもあるように、植裁をそって配置してます。

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こちらは伝統的な土壁です。自然の土壁らしく、積み重ねた時のライン模様や自然なクラックが特徴です。それぞれの部屋を移動する際に少しづつ、先の部屋の素材が目に入るようになっております。

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こちらはベトナム北部の衣装の素材の一つでもある麻。その麻紐をダナン店でも協力していただいた藍染職人に染めてもらい、藍染紐で壁を作って新しい空間をつくりあげました。

いかがでしたでしょうか??この他にもその場所を最大限活かした、創造性あふれる店舗がベトナム全土にございます。その物件もそれぞれ手掛けていただいたデザイナーさんの個性や創造性が発揮された素晴らしい店舗となっております。

よろしかったらお気に入りの店舗を見つけて見てください。

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