この土地には

自分が育った街には米軍基地がある、複雑なジレンマを持ちながらもこの土地の文化を形成するうえで外せない要素の一つであり、核となっている。街を歩けば国籍問わずに様々な人種の人とすれ違う、9.11以前は親に連れられ基地の中の友達の家に遊びに行ったりした思い出、小学校にも中学校にもクラスに一人は外国の血が通っている生徒がいたように記憶している。高校に進学し、他の街の学校に通いだすと日本人しかいない教室に違和感が生じたほどであった。

昔からこの街にいる人からは土地柄の音楽シーンについての話をよく耳にする。ロックバンドに米軍ハウスでの共同生活から旧赤線地帯のこと、老舗のライブハウスとクラブ。想像以上に小説の世界が生々しくも現実としてココにはあった、他の土地とはちょっと異なった日常の昔話。今はなんとなくの空気がうっすらと残るだけだが、きっとしばらく消えないだろう。

在宅勤務が始まって、連休も今日が最終日。この土地にいる時間、家で過ごす時間が増えた。そうしていると、日中は軍用機が空気を震わせて、家の窓ガラスを揺らして飛び去っていく。小学校の授業がこの音で一瞬中断される、そんな記憶が呼び起こされる。


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