「相性がいい人」とは何か?
いきなりだが、私は婚活を通じて、いまの夫と出会い、結婚した。
それも生半可ではない、むちゃくちゃ全力でマジ1000%の婚活だった。
詳しく書くと卒論のような大作になるので、かなり割愛するが、まずは初動として、「1ヶ月で150人の男性と出会う」という目標を立てた。
2ヶ月目で1割の15人とデートし、3ヶ月目に3人候補者が残っている状態を目指したからだ。
ちなみに、ほぼこの計画通りにすすみ、3ヶ月目で夫と交際がはじまり、その8カ月後に入籍した。
最終的に「出会いの1ヶ月目」は200人程度と婚活の場でお会いし、話したりお酒を飲んだりお世辞を言い合ったりしたのだが、そこで明確に感じたものは「相性のいい人」の具体的な中身である。
当然ながら、相性の悪い相手より、相性のいい相手と結婚したいし、友達や同僚やお隣さんにもなりたい。なってほしい。
それには「相性のいい人」の正体に関して、認知を深めておくと便利かもしれないので、私の経験則を書かせてほしい。
「同じであること」と相性は無関係
婚活をしていると、こんな言葉をよく耳にする。
「旅行が好きなので、同じ趣味の人がいいんですよね~相性って大事じゃないですか?」
「私は犬飼ってるのに、あの人、猫派だって言うんだよね~はあー相性悪そぉ~」
上記で議論されているのは、相性ではなく、単純な趣味趣向の一致不一致の話である。
結婚相手に似通った趣味を求めることは自由だが、これは相性と区別して考えたほうがいい。
誰しも経験があると思うが、「好きなもの」が同じであっても「相性悪いな~」と感じる人はいるし、逆に、ライフスタイルや年齢、好み、なにも共通項がないのに「なんだかこの人とは相性がいいな〜」と思える人もいる。
さらに、相手への「好感」も相性とは別物である。
ルックスやステータスや雰囲気なんかが魅力的で、この人素敵だな〜と思う相手には「また会いたいな」や「もっと知りたいな」なんて焦れるわけだ。
しかし、実際にあってみると、なんだか会話がちぐはぐであったり、落ち着かなかったり、あれ、なんだか合わないかも?となる場合は多く、期待した分、よけいに疲れてしまったりする。
これは好意は感じていたものの、相性が悪かった、ということになる。
相性はふたりの間ではなく、自分の中に存在している。
「相性がいい」を言い換えるとしたら、会話が自然にできる、話のテンポがあう、一緒にいてラク、笑いのツボが近い、などを連想する方が多いと思う。
これは大変妥当な考え方で、つまるところ、相性がいいとは「その人といる時の自分が好き」ということではないだろうか。
A型とB型は相性が悪いであるとか、夏生まれ同士は相性がいいだとか、ちがう個性をもった人間が2人いて、その関係性が「相性」だとイメージされがちだ。
だけど、相性がいいか悪いかを決めるのは自分以外の誰でもなく、この価値観は常に自分の内側にだけ存在している。
相手が同じような相性を感じているとも限らない。
こちらはノーサンキュー!と思う上司を、めんどくさいからとおだてすぎると、俺たち相性いいよな!なんて肩を組まれて、ええー!となる。
相手は持ち上げてもらえるので、その人といると「素敵な自分」を感じられて気持ちいいのだ。なので相性がいい!と感じている。
逆に、自分の中のなんらかの倫理観や、いわゆる「地雷」を踏んでくる人といると、いつもより怒りんぼな自分になってしまい、穏やかに振舞えないので、相性が悪いと感じる。
優しすぎる人といるとダラけた自分になってしまったり、攻撃的な人といると萎縮してしまったり、人によって「この人といる時の自分はキライだな」と思うフックはちがうが、そのストレスが「相性が悪い」という感想になる。
なので、「また会いたい」という好感よりも一歩進んだ、「ずっと一緒にいると、もっと自分を好きになれそう」が「相性が良い」の正体ではないかと私は思っているのだ。
「なりたい自分」を知ることが、相性がいい人を見つける近道
冒頭で触れた婚活では、男性以外にも、多くの婚活女性と知り合った。
年齢も性格も幅広かった彼女たちのなかで、なかなか婚活の成果が上がらなかった人は、相性と好意の区別がついていなかったように思う。
そうなると、素敵だな、と思う人に好かれようと、とにかく合わせにいってしまうので、もともともっている魅力も発揮できず、相性の悪さを力技でねじ伏せることになる。
短期的な恋愛ならいいのだが、落ち着いた頃にドッと疲れるし、いざ親しくなると「こんな人だっけ?」と肩透かしをくらってしまう。
それが恋愛の醍醐味さ、と上級者が言うならば、そうなのかもしれない。
もはや私には関知できない世界のお話になってくるので、専門家に任せたい。
私個人が婚活から結婚した経験では、魅力的な人に惹かれるのは当然なのだけど、自分自身の魅力を生かしたり高めたりしてくれる「相性のいい人」をパートナーにできると、とにかく人生が楽しい。
私は喜怒哀楽の中で、「喜」と「怒」が強い。
でも怒ってしまう自分はキライだ。
夫はいつも陽気でふざけていて、ネチネチちくちく小言を言わないので、「喜」は共有できて、「怒」は滅多にわいてこない。
夫といると、1人のときより、たくさん喜びあまり怒らない自分でいられる。
だから私は、夫とすごす自分が好きだ。
夫も夫で、1人だとダラダラすごして時間を無駄にし後悔するが、私といると、適度に規律ある生活が送れて、独身時代よりも人生が充実しているらしい。
いまのところ、お互いが感じる相性は上々だ。たぶん。
そんな私たち夫婦は、娘には、「どんな自分でいたいのか」を自覚して、そのうえで相性のいい友人や恋人を探してほしいと願っている。
緊張せず自然体ですごすこと
ちょっとダラダラすごすこと
オシャレに優雅にすごすこと
張り切って上昇志向ですごすこと
「なりたい自分」はそれぞれ違うし、ライフステージごとに変わってもいく。
1人でしゃにむに頑張るよりも、まわりの人の力も借りて、あまり苦労せず自分を好きでいてほしい。
「相性のいい人」に娘がたくさんめぐり逢い、また彼女自身も、誰かにとっての「相性のいい人」であり続けられるように、夫婦そろって日々精進していきたいのだ。
記:瀧波 和賀
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