長野まゆみ『天然理科少年』
長野まゆみ作品に出てくる色とりどりの物質達が好きだ。檸檬水の瓶、鬼胡桃、瑠璃ゼンマイに鴨跖草...。モチーフがそれだけでそそられるんだけど、長野さんが描写することによって、より一層魅力が増している。なんというか、活き活きとしていて、心を通わせることができるんじゃないのかと思わせるほどだ。それと同時に、とてつもなく艶やかで、こちらを惑わせもしてくる。手に入りそうで入らない。付かず離れず、そういう絶妙な距離感でもって、モチーフを描いているのだ。
そして、長野さんはこの絶妙な距離