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#2 春を迎えられなかった恋

高校に入学した当時はサッカーワールドカップが大盛り上がりだった。中田英寿が注目され、ベッカムヘアーの真似をして、大流行した年。

僕も当時何のオーダーもせずに近くの若い人がやってる美容室のような床屋さんにいったらベッカムヘアーにされ、授業中に地理の先生が「おい、流行ってんな!ベッカム!笑」なんてゆうから、されたくもない注目を浴びたりしていた。

僕の場合、ベッカムではなく、中田に似ている

当時の僕は口数は多くない方で、集団が嫌いだった。できれば1人で過ごしていたいタイプ

イケてる組、イケてない組でクラスは二分されて皆んな好きな人同士で休み時間は集まってた

僕は大体トイレに逃げるか、机で寝るか、数少ない同じタイプの友達と話していたと思う。

勉強は得意でも、好きでもないけど、授業は好きだった。皆黙るし、あと興味があれば集中して授業聞いて、全然つまらないとそのまま寝ればいい。


僕の場合、本番は放課後からだった。

高校1年の夏くらいから、当時やっていたサッカー部を辞めてアルバイトしていた。学校では届けを出した人しかできなかったが、皆内緒でやっていた。僕もそうだ。

学校から離れた、和食屋さんの調理をやった。ホールの仕事だとバレやすい、店長もその辺の理解はある人だった。学校の先生らしき人が来るとこっそり皆に教えてくれた

同級生に紹介してもらったそのバイト先には自分の様なやつがいっぱいいた。大体同級生で、部活はやらず、遊びたくて、自分でお金稼ぎたい。そんなやつらだった。中学が一緒でそれ繋がりで皆バイトを始めることが多かったが、僕は同じ中学のやつがいなかった。場所的に真反対だったせいもある。

そこには当然女の子もいるし、高校生の頃は大抵の場合、付き合いたいとか、モテたいって気持ちがあったんじゃないかな?僕もバイトを始めた理由の半分はそーいう理由だった。

同じ年でも色んなやつがいて、仲良くなるのに全然時間かからなかった。見た目めっちゃ不良なのに友達には超優しいやつ、お調子者でいっつもなんか喋ってる奴、中型免許取って見たことないバイク乗ってくるやつ、めっちゃ美形の顔なのにすげー声の低いやつ、物腰柔らかくてバレーでもやってそうな感じなのに絵が得意ででも好きな子の前だとダメダメになっちゃうやつ。あと、中心的存在だけど、全然威張らない人気者で硬派なやつ。

学校での僕は静かに過ごしていたけど、バイト先では楽しかった。学校でも、家でもない、というちょっとした解放感からくるのかもしれないが、とにかく楽しかった。バイトが終わると皆でカラオケや深夜の公園で話したり、友達の家に集まったり

夏はひとしきり遊び、花火大会には男だけで向うも女の子に声をかけることは出来ず、帰りに皆で花火して。ロケット花火の打ち合いになり、花火からじゃなく警察から逃げまくる、そんなことばかりやっていたと思う。

秋が来る頃、女の子のアルバイトもちょこちょこ入るようになった。

これは…と皆期待するが。大体彼氏持ち。

それでも、果敢に挑んで失敗する者、成功する者も出ていた。そして、皆なんだか彼女ができるとちょっと変わるんだよなぁ、何というか。

すると。まあ自分もいいなぁって思うわけだけど、競争率が高いからすーぐ皆できちゃうんだよ。困ったなぁ、どうやったら彼女って出来るんだ?なんて思いながら日々もんもんと過ごしていた。


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