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「可愛い」がわからなかった

※出産、妊娠、に関する内容です。


TVに映るアイドル、子供が大事そうに抱える人形、女性の服、メイクや髪型、彼女が選ぶピンク系の淡いTシャツ、キャラクター付きお菓子

女性や子供達が可愛いと言うもの全てが当てはまる。男友達が言うものもたまに含まれるけど、まあ内容はだいたい同じ。

僕の中に可愛いという感覚がないのだなと思っていた。けど、その概念は意外にも覆された。


長女が産まれた瞬間

「可愛い」という感情が生まれた。



妻がいつもと身体の具合が違うと言い出したのは外が暗い朝方。今日から休日明けの仕事が始まる、そんな日。ここ一週間はいつ予兆が来てもいいように妻の様子を気にしていたと思う。入院用の荷物もやる事も事前に話合っていて、ある程度用意してあった。

この子は長期戦の末に促進剤を使ってやっと出て来れた。

妻はずっと苦しそうで、背中をさすり、途中お義母さんがかけつけてくれて、交代で妻のサポートに回る。陣痛を促すため、妻は苦しみながら病院の廊下を定期的にあるく。ベットから起き上がるのもやっとで、手すりがないと歩けないほどに消耗している。体力をつけてと言われて病院から食事を持って来られても手をつけられず、僕や義母が代わりに食べ、トイレに行くにもすぐ傍にあるトイレに辿り着くまで10分以上かかる。朝方病院に入ってから外の景色を見ていない。時計の針だけがゆっくり小刻みに過ぎていく、1日があんなに長く感じた日は人生で初めてだと思う。最終的には、1日以上経ってたんだけど。分娩台へ運ばれて10分程で中へ呼ばれ着慣れない青いビニールの服と手袋をつけ、妻に寄り添う。助産師さんに促され手を握りながら、声をかける。頑張れと言うのも躊躇われる。妻はずっと頑張ってる。だけどもおすぐこの子に会えるから頑張ろうと、心に込めて頑張れと言った気がする。声に出せばよかった。産まれたての我が子を撮ろうと持ってきてた一眼レフのカメラが邪魔に思えた。助産師さんがいてくれることがどれ程心強かったか、そのうちに先生も来て、無事に産声が聞けた。

始めて自分の子供を抱いたときのちゃこさんの旦那さんの気持ち、わかる。

冒頭のちゃこさんの語り部分を読んで思い出したので、書いてみようと思った。

男性視点のことを。

もちろん状況も、なにもかも違うの踏まえて書きます。ご意見等々あるでしょうが、あくまで自分視点から書いてみただけです

 ○○

男性の場合ご指摘のとおり、身体の変化はない。全く。女性の場合は胎動や体調の変化によりめまぐるしい1日を過ごしていることかと思われるなか、男性側はなんの音沙汰もない。いつも通り会社へ行き、帰宅して、飯食って、風呂入って、寝る。このサイクルは変わらない。ずるいと思われても仕方ない。


そのかわり

・愛する人(大好きな人)の苦しむ姿を、ほぼ毎日見ること。

・守るべき命が増えたこと。


この2つが男性心理に重くのしかかります。

※これは女性に苦しむ姿を見せるなといっているわけではありません。それにできるなら見せたいわけないじゃないですか、好きな人に自分のそんな姿。

男性の場合もそうで、そんな姿(弱ったり、ビビったりを)見せたくないです。男性の方が弱い部分は見せたくない傾向が強いように思います。人によってですけど。これが男性は外面は良いけど、内面は弱い…と言われるところで。


女性だって同じことで好きな人には可愛い自分でありたい人だっている(皆が皆、そうじゃないの前提で書いてます)これは子供ができてから気づきました。遅かったです。


○○○

想像したことのない角度からじわじわとやってくる。あきらかにそれまでとは違う、ちょっと具合が悪いなんてレベルではない。本当につらそうで。他人事のようにいってますが、変わってあげたいけど、どんなに願っても変われない。ウソのように思われるかもしれないけど、実際願っても変われなかった。だから、本当。もしかしたら、どこかの誰かは変わってるのかもしれないな。

いや、この話はそんな膨らます必要ないか。戻ります。

大概の世の男性は経験が無い、目の前で女性が苦しんでいる姿を見るなんて。結婚前の恋愛をしている時の『具合が悪い』はなんとかコントロールできる。(これも人による)しかし、妊娠となるとわけが違う場面に何度も出くわす。

女性だけではどうにもできない。誰かの助けが必要な程、日に日に変化を受け続けているのがわかる。お腹も大きくなっていき、共に行動するにも気をつけなければならないことが増えて行く。必要な買い物が数分でがらりと変わることもよくある。いつしか衝突も増える、お互いに思い通りにいかない日々が続き、ろくに疲れもとれず、朝を迎えるなんてよくある。

ただ、男性はまだ1人になれる時間があるだけマシで。女性は子供がお腹の中にいると分かった時から24時間どんな状況でも1人にはなれない。これは男性側は理解しようとしないと分からない。悲しいことに。妻の言葉や病院でもらう初めての夫婦に向けての本で知ることになる

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プレッシャーの種類が違う、男性と女性は。

男性の場合、妻を一人家に置いて仕事へ行く。うしろめたさのような感情。休憩中に心配で何度かLINEを入れる。何か変化あったか、食べたいものはあるか?気になってしまう。

大丈夫。の言葉とスタンプ

大丈夫と言ってもらって、自分が安心したいだけだったのかもしれない。

休日はなるべく妻に休んでもらって、家事をやる。人混みはなるべく避け、公園や実家へ行く。

鉄分が必要だから、よく飲み物買って帰ったっけ。少しでも楽になってもらいたかった。最近は1秒でも早く帰って子供の世話を替わることに変わった。

今振り返ると、妻と自分への小さな休息を探す日々だったな。

もちろん、喜びや驚きだって沢山ある。悪いことばかりじゃない。下の子ができた時は何故か2人とも少しの自信がついていたように思う。


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日々を一緒に乗り越え、やっと会えて。

「可愛い」と自然と出てきたあの感情はきっと夫婦同じなんじゃないかな。なんて、少しだけ思ったんです。

夜泣きで何度も目が覚めても、次の日が来ることが不安でつらくても、ただそこにいることで許せてしまう。そんな瞬間だらけの、存在。


無事に産まれて良かった。妻がいてくれて良かった。多くの男性は、きっとそんな風に思ってます。言葉にうまく出せなくても。


あなた達は「可愛い」を教えてくれた。






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