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#7 春を迎えられなかった恋

大会はあっけなく終わった。結果は、準優勝。

2年連続優勝していた先輩達の記録を逃してしまった。部長達はとても残念そうだった。大会からの帰り道、それでもなんとか明るく皆に振舞っていたと思う。

でも、やっぱり何処か元気がなかったから、僕と中条さんは皆を元気づけようと盛り上げ役に徹していた、冬の大会は優勝しましょうねって励ましていた。

電車で、学校のある駅まで皆で一緒に帰った。その日は皆疲れていた、表情も硬い

部長と副部長は少し離れた家だからバスでいつも通っていた。特に部長が心配だったから、中条さんと一緒にバス停まで見送った。バスを待ってる間、少しいつもの雰囲気に戻ってきたかなってくらいに元気になってたから、とりあえず一安心。特に無理に明るく振舞ってた部長が心配だったから副部長に部長のことお願いして、バスに乗って2人は帰っていった。

中条さんと、2人きりだ。

全く良きせぬ好機に少しドキドキしたが、いやいや…彼氏いるじゃん。

それでも、少しくらい話していいかな?と思って「今日はなんか疲れたね」って言ってみた

「そうだね、残念だったよね。だけど、次は絶対優勝したい。明日から練習頑張ろうね」

きっと中条さんも少し無理してたと思うけどその時の自分は恋により麻痺していたのだろう、やっぱり可愛いということしか覚えていない。

大会が終わって、なんだか一気に何をしたいのか分からなくてなってしまった。大会だけじゃなく、僕の恋も終わってしまったのだ。

夏休みの昼間、扇風機を回した自分の部屋で、ベットに横たわりながら考えた


当時はインディーズバンドが流行っていた。GOING STEADY、モンゴル800、ガガガSP、オレンジレンジ、HY、ELLEGARDEN、ジャパハリネット、10-feet…学校ではCDをMDに移したものを友達同士で貸し借りするのが流行っていた、自分もウォークマンで聴いていた。

TSUTAYAで学校帰りバイトが無いときは色々借りていた。当時はBUMP OF CHICKENというバンドもカッコいいなー、ちょうど天体観測でメジャーデビュー果たした頃だったと思う。

バイトをとにかくたくさん入れた。部活には行きたくなかったから

バイト先の友達が髪を染めると言うので、自分もやってみようかな、高校2年の夏は受験も関係なく、その点ではなんだか1番気楽だった。

初めてブリーチしてみた。思い切って、自分は金髪だ。するとどうだろう、完全に中田英寿だ。まあ、確かに似合ってはいたみたい。

原付も乗って、金髪で、お金も少し持っていた。当時の高校生の欲しいもの大半は手に入れたような気分だった。かなり楽しかったと思う。バイトが終わったら深夜まで散々遊んだ。カラオケ歌ったり、夜の公園で遊んだり、毎週のように海にも行き、友達とナンパでもしてみるか、ってなったが、そんな度胸はなく、女の子達を眺めるだけ。とにかく体力が有り余っていた。

今年の花火大会も去年に引き続き同様の結果に終わるり、浴衣を着たカップルがとても羨ましかった。中条さんも、もしかしたら彼氏と来てるのかな。…そりゃそうか


登校日だけ、黒染をしてなんとか誤魔化した、バレないかヒヤヒヤしながら学校へ行く。

(…登校日くらいは部活に顔出そうかな)

あと何週間で夏休みも終わってしまう。流石に大会終わってずっと、出ないのは気まずい。

久々に部室によってみたら、意外にも出てる人は少なかった。部長と副部長とあとは数人だけ。登校日以外皆んな出てたらしい。中条さんはいなかった

「あー、何日サボってんのー?」部長が不機嫌そうに寄ってきた。まあ、色々忙しくてと適当な言い訳をした。凄く怒られるのかな、と思っていたけど、あんまりお咎めはなかった。部長も副部長も明るく受け入れてくれた。

なんだか、夏休みが終わってから部長から何かと声をかけられるようになって、メールアドレスも副部長伝いに聞かれたりした。副部長のアドレスも知らなかったからとりあえず交換して。この時くらいから、部長と副部長と学校で良く会ったりして、一緒にいる機会が増えていったように思う。するとなんか部長の様子がちょっと変わってきた。と、ある時思うようになった。



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