#3 春を迎えられなかった恋
僕にも1年の最初から気になる子はいた。学校の方に。
中条さんという、ショートヘアが似合う明るい子だ。男子、女子共に人気があり、当然ライバルも多そうだ。
しかし科が違うためなかなか会う機会もなく、バイトを紹介してくれた友達がその子とたまたま同じ科だったので(なんと、おまけにその子と仲が良かった)教室に顔出しては、話す機会がないか伺っていたように思う。
*
そして、秋になる。ある時ふと、思う。部活やってないと、内申点に響くって言ってなかったっけ?担任の先生が確か言ってたような…
僕は母子家庭だ。だから、まあ余程やりたいことが出てこない限り大学進学はない。自分の未来は、何となく予想していた。
就職するにも内申点はいい方が、と脳裏によぎる。
そこで何がいいのか、もう一度洗い直してみた。1年の最初は皆先輩達も部員獲得に躍起だから、半年以上経つと熱は冷め、それぞれの活動へ戻っていく。だから、スポーツ系はなんとなく分かるが、今から新しく始めても、この差はでかいだろ。と、あきらめた。
ここで文化部へ目を向けた。文化部ってなにがあるんだ?全然知らなかった。どれくらいあって、どんな部があるのか。その時は吹奏楽くらいしか知らなかった。
調べてみると、茶道部や放送部、新聞部みたいなのがあったように思う。
どれもピンとこなぃなぁと思っていたら、パソコン部というのがあった。商業学校で、まだパソコンも学校に普及しだしたばかり、インターネットなんて聞いたことあるけど、使い方わからんな、くらいの人ばかりの田舎の学校だった。しかし、当時何となくだけど、インターネットって流行ってくのかなぁなんて思ってたもんだから、ちょっと役に立つかも。(しかも、こっそり部活に顔出せそう)とかいう、ろくでもない理由で入ることにした。しかし、週に2回か3回しか行かないことにしていた。もちろんバイトが優先だ。
友達に一応相談すると
なんとそこには、中条さんが入部していた。
高鳴る胸を踊らせながら、しかし悟られないよう、何事もない顔で「入部ってどうやるの?」と中条さんに聞くととても喜んでくれた。
届けを出して1週間もしないうちに入部になった。流石に最初は全員の前で挨拶だった。
そこに先輩(のちの彼女)もいた。
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