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テラスで開いた本の名前

日差しが西へすこし傾いた

ろうばいの黄色い花にやわらかな光があたって自ら発光しているように見える

近くの山が鳴ってる。よく聴くと竹の頭が風に揺られてサァァァとなって。

小鳥が隣の庭でさえずり、

飼い犬は伏せたまましっぽをときおり、ホウキのように動かす。



防腐剤を塗ったばかりの木材は黒く艶がある。

薄い長座布団をひいて寝転ぶ。

軒下から見上げた空は青く、雨樋は陽の光で輝く

世界から消えゆく言葉がかかれた本を読む。

知らない世界、でも、たしかに存在する世界。

ただ知らない言葉なのに

そこにある生活を想像してしまうのは

疑いようもなく、そこに誰かが生きているから



読み終わった手に小さい蜘蛛が指先へ移動する

どこを歩いているかなんて、考えることはない

そこに生きているだけだから。

風を感じているのかも、どこへ向かうのかも、時間に追われることも、ないのかな。

そんなことを考えてしまう。



https://www.amazon.co.jp/なくなりそうな世界のことば-吉岡-乾/dp/4422701088




短い説明の中でたくさんの想像力を掻き立てられる、とても素敵な本でした。

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