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悲しみって、ちゃんと底がある

本を読むと、どんな本にも必ず1つや2つ身になる言葉や表現がある。

読了しないと読んだことにはならない、と考える人もいるかもしれない。ただ、私自身はなにか1つでも得るものがあれば十分だと思っている。それだけで、その本を読んだ価値はある。

読んですぐ役立つ時もあれば、時間が経ってから本の中の言葉に救われる時もある。

小説だと特に時間差があるように感じる。頭の中で時間をかけて咀嚼しているのか、はたまた、なにかが引き金で作動する仕組みにでもなっているのか…。不意に言葉が浮かんでくる時がある。

泣くだけ泣いたら、ある日突然すっきりしちゃいました。それまで長い間落ち込んでたのが嘘みたいに。
底までいったら、あ、ここに出口があった、なんだって感じかな。最初から思い切り落ち込んちゃえばよかったのに。

これは悲しみだけじゃなく、つらさや痛みにもあてはまるんじゃないかと思う。味わいたくなくても、味わう時があるネガティブな気持ち。そのどうにもならない気持ちの扱い方。

我慢したり目をそらして無理に明るくふるまったところで、いつかはしんどくなる。遅かれ早かれ無理をしたツケがくる。悲しみや痛み、つらさが長引くだけだ。

だから、ただただ今の自分が感じているその気持ちを受け入れる、味わう。そのうちに底につく。底についたら、そこからしか見れない景色を堪能する、浸って気が済むまで味わう。そうしたら、自然と浮かびたくなる時がくる。