先行きが不安な後輩の農家たちへ
皆さん元気に過ごしていますか?
経験したことのない事態になってきました。不安を抱えている人も多いと思います。
僕も不安です。
まだしばらくは持ちこたえられますが,この状況が長く続いたらと思うと,呑気にタネ蒔いてる場合じゃないよ,とオタオタしてしまいます。
普段は,今日が終われば変わらぬ明日がやってくるだろうと,日々をノホホンと生きてますが,こういう事が起きると,「甘く考えてんじゃねーよ」と冷や水を浴びせられたような気持ちになります。
2011年の春を思い出します。あの時も同じ気持ちでした。今思えば,あれが今までで一番の冷や水だったのかもしれません。
美味しい野菜を育ててお客さんに送ればいいんだ,とあぐらをかいていた自分の足元を木槌でスコーンと落とされたような出来事でした。日々の忙しさに追われて,好きなことでメシを食えることの奇跡を忘れてしまっていました。
その時は運に恵まれて危機を乗り越えられましたが,経営規模が少し大きくなった数年後にゾッとしたことがあります。その数年後の規模の経営で,2011年の自分の力で震災が起きていたら,経営が簡単に破綻することを知ってしまったからです。好きでやっている仕事だからこそ「運営」を意識しなくてはいけないことを,改めて認識しました。今は,あの程度のことが起きても運営上は大丈夫です。
2020年の冷や水を浴びて先行き不安な後輩の農家たちに伝えたいことがあります。
しんどいことを乗り越えると,必ず学びがあります。亡くなった野村克也監督が繰り返し言っていた「負けに不思議の負けなし」の言葉どおり,うまく行かない時にこそ,うまく行っている時には気づけないことに気付けるのです。その繰り返しで,人も事業も,少しだけ強く,たくましく,ずるくなれます。それが明日の勝率をちょっとだけ上げてくれるのです。
商売なんて水物です。安泰に見えるものも,状況が変われば簡単に吹き飛びます。
裏を返せば,今残っているすべての商売は,時の試練に耐えて,他人に支持され続けているものです。残したいと思う人がいたから,今日まで生き延びて来れたのでしょう。
未来のことなど誰にも分かりません。僕も,今日も,不安です。
ただ,あなたのやっていることをあなた自身が信じてあげなかったら,そこで終わりです。こんな農園なくたっていいや,とあなたが思うなら,もう未来はありません。
そして,商売がなんとか続いた時,あなたは少しだけ強く,たくましく,ずるくなれます。
あなたの農園は,なくなってもいいものですか?
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