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自転車通勤が教えてくれたこと

自転車で通勤をすることが増えた。

きっかけは運動不足解消のためだったが、始めて見るととても楽しい。ごみごみした社内で窮屈に揺られることなく、開放的で風を切って走っていると、とても前向きな気持ちになる。

驚いたことは、自転車の方が電車よりも所要時間がかからないことだ。まぁほんの数分だけど、人身事故や車両点検等で遅延した場合には大きな差になる。自転車は大きな遅延が滅多にないことも良い。

そしてお昼休みに、いつもなら行くことができない場所まで足を延ばせる。行動範囲が広がるし、会社から物理的にも離れることで、気分転換にもなる気がしている。

あまりにも仕事が忙しくて疲れていたり、急なご飯のお誘いがあれば自転車は会社に置いたまま電車で帰ればいい。選択肢が増えることも嬉しい。

考えれば考えるほど魅力しかない。

所用時間が変わらないのであれば、賃金と引き換えに移動する電車より、体力と引き換えに移動できる自転車の方にメリットが多いなと思っている。

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自転車通勤を始めて思ったことは、いつもの目的地が通過点になるということ。

私の家から勤務地までに中野や新宿といった街があり、電車に乗って遊びに行くことがあるが、朝の陽ざしを浴びながら中野や新宿を自転車で通り過ぎるというのは、とても新鮮だった。

もちろん電車に乗っていても、通勤時は通過点になっていることは間違いない。

けれど、実際にご飯を食べに行った歌舞伎町やたくさん作品を観た映画館・より良い買い物のためにと向かった伊勢丹やマルイなどビル、生活のうるおいを求めてできた思い出の場所を、自転車で通ると「通り過ぎる」という感覚がより強くなる。

会社の最寄駅なんて、いつもだったら下車をする「目的地」だけど、自転車であれば通過点という実感すらも感じぬまま通り過ぎてしまう。

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もうひとつの気づきは、目線の変化だ。

自転車で走っていると、歩く人々がみなやや下を向いていることが分かる。もちろん全員じゃないし、前を見ている人ももちろんいるけど、顔は前を向いていても、視線はあまり遠くを見ていない。

そして私自身も、そうであったと気づいた。

自転車に乗っている時の方が、人の顔も良く見えるし、通り過ぎる人の先まで見ようとしている意識がある。

なんだか前向きな気持ちになったのも、視線の違いのせいかもしれない。



今日の目的地には、明日には通過点になる。
だから、刹那的にならないよう下を向かずに、なるべく前を見て、その先があることを感じて。

そんな当たり前のことを、自転車に乗って思った。

今後も有料記事を書くつもりはありません。いただきましたサポートは、創作活動(絵本・書道など)の費用に使用させていただきます。