見出し画像

針と剣山を思い出して

職場での出来事。

私が尊敬している博学おじさん(上司)が、ある制作物を私に提示した。

どう思う?

パッとみて文字が多く、あえて文字で埋め尽くしているというデザイン性も感じなかったし、書いてある文章も何が言いたいのか分からない。

正直にそう話すと、良い視点だと褒めてくれた後、「針と剣山」の話をしてくれた。

・・・

そういえば、中学生の頃に剣山の上に乗ったことがある。

圧力と面積の話…だったと思う。
正直理科は嫌いだったのであまり記憶はないけれど、理科の先生が好きだったので、そういった余興混じりの実験はよく覚えている。

班の中で1人代表を選んだ。
ジャンケンを提案したが、皆に反対され、班長だったということで私が立たされた。

選ばれた1人は、剣山の上に上履きを脱いで乗れと。本当に怖かったが、靴下のまま乗ることができた。

あんな針の束の上にもかかわらず、全く痛くなかった。

調子に乗って、他の班の剣山も借りて両足で乗ってみたりもしたけど、痛みを感じずに立つことができた。

では一本の針を立てて、その上に立つことができるか。

もちろんできない。
立つことはおろか、少しでも体重をかけようものなら流血事件である。

博学おじさんは、その原理は情報にも同じことが言えると教えてくれた。

プレゼン資料やパワポ作成の時に「1スライド、1メッセージ」ということはよく言われていることだが、何に対しても同じことが言える。

あれもこれもと欲張ると、対象者には剣山の如く何も刺さらない。

たったひとつでいいから、伝えたいことを端的な伝えることの方が大事だと言った。

スライドの話だけで済むところを、「針と剣山」の話を用いて話してくれる博学おじさんは、やはり良い上司だと思った。

いいなぁ。
私もいつか上司という立場になった時は、こうでありたいな、と。

博学おじさんのように、説教垂れるわけでもなく、日常会話のように様々な話をする中で、本人に気づかせるスタイルを身につけるには、どれくらいかかるだろうか…。

・・・

感心していると、じゃあ指導しといてと言われた。

その制作物は、私の後輩が作ったもので、教えてあげてというとサラッと席を立たれた。

思いがけず、あっという間にその番が回ってきたようだ。

針と剣山。

人に何かを伝えるときは、心に留めておこうと思いました。

今後も有料記事を書くつもりはありません。いただきましたサポートは、創作活動(絵本・書道など)の費用に使用させていただきます。