プレゼント選びは難しい
就職してから、両親へクリスマスプレゼントを贈っていた。
ある年のこと、ずっとお洒落で被せたビニールが見えないようなゴミ箱が欲しいと言っていた父に、ちょっとおしゃれでお高めのゴミ箱をプレゼントした。
このプレゼントに父は不満げだった。
ゴミ箱はお父さんだけが使うわけやない。家のものなのに…と。
今考えてみれば、ごもっともだ。
お洒落なゴミ箱が欲しいと言っていたのが父だけだったから、ついつい「父の欲しいもの」として考えてしまっていたが、たしかにそれは「父へのプレゼント」としてはカウントされないだろう。
あまりにも不満を言うものだから、その日のうちに父を連れ出し、ボロボロになっていたスニーカーを買い換えることにした。
それ以来、毎年父へは靴をプレゼントしている。
・・・
プレゼント選びは難しい。
相手が欲しいものでも「自分で買いたいもの」であることもある。
反対に欲しいと思ってなくても、プレゼントされたらとても気に入って喜ばれることもある。
「もうたくさん持ってるから」といって、たくさんの種類を持っていることに満足を覚える人だっている。
何を基準に、何を考えれば、本当に喜んでもらえるプレゼントになるだろう。
そんなことを考えて2週間くらい経つのだけど、ふと気がついてしまった。
そもそもプレゼントって相手に喜ばれなきゃいけないものだっけか、と。
プレゼントなんていうのは、「これをあげたい」という自己中心的な気持ちが発端だ。相手が喜ぶかどうかという答えの出ない悩みを抱えて選ぶものではない。
あげたいからあげる。
使って欲しいから買ってくる。
ただそれだけのことで、もちろん相手が喜ぶようにと考えることは大切だけど、そこだけに焦点を絞るとプレゼント選びは楽しくない。
プレゼント選びは、もっと自分勝手でいいんだ。
・・・
今年は母から帰省禁止の連絡が来たので、年末年始に実家へは帰らない。
よって、父へのクリスマスプレゼントの靴もしばしの間はおあずけである。
靴は履いてみなければ分からないこともあり、私が選んで送るわけにもいかない。父の足はなかなか特殊なので、すんなりと決まったことがないくらいなので、父なくしては選ぶこともできないのだ。
また、父と靴を買いに行く日を待ちながら、結局10年以上使ってくれているゴミ箱に想いを寄せて。
今後も有料記事を書くつもりはありません。いただきましたサポートは、創作活動(絵本・書道など)の費用に使用させていただきます。