見出し画像

馬鹿でも煙でもないけど好き

会社の屋上で昼食をとった。

私の部署には、大きめの丸テーブルがあって、そこにいつも誰かしらご飯を食べにくる。

基本的には部署には私だけしかいないので、一緒に食事を取ることもあるが、たまには1人でいたい時もある。

それはネガティブなことではなく、ゆっくり考え事をしたい時や本を読みたい時、そして屋上からの景色を独り占めしたい時に、こっそり私は部署を抜け出して屋上へいく。

テーブルやベンチがあるわけでもなく、屋根もないので、ここで昼食を取る人は少ない。

春先なんかはピクニック気分で来る人もいるが、心地よい季節が過ぎると誰も来なくなる。

昨日は気温も湿度も高く、風も強い上に、昼時は時折雨粒が頬に当たるくらいの僅かな小雨が降っていたが、それは屋上時間を独り占めできる絶好の条件だった。

音楽をかけながら、人のnoteや本を読んだり、景色を眺めながらぼーっとしたりした。仕事の合間にこういう時間を取れるのはありがたい。

・・・

独り占めしたい屋上からの景色は、前後で風景がガラリと変わる。左右は同じようにオフィスビルが建っているだけなのでただの壁だ。

階段を上りきると目の前に広がるのは、大学や省庁などのだだっ広い建物で、遠くにスカイツリーが見える。

これはこれでいいのだが、私が最近気に入っているのは階段で振り返り見る反対の景色だ。

変わったものはない。
ただ一軒家やマンションが所狭しと並んでいるだけのだが、私の会社は坂の下にあり、それらの建物が奥に向かうにつれて高くなっていくので、遠くのものほど大きく見えるような錯覚がして不思議な感覚になる。

それが楽しい。

また、そこから私がいつも通勤時に歩く道もはっきり見えるのだが、屋上から見ると意外な発見がある。

たとえば、歩きながら見ると小さな可愛いお家に見えていたが、屋上から見てみると奥行きのあり、むしろ奥は敷地も広がっているので意外と大きい家だったり、玄関に多肉植物がたくさん置かれ、いつも綺麗にしている素敵なお家も、屋根は結構汚く変色していたり。

先日自動販売機を運んでいるところを見た時、斜めにして台車で移動させていたので、自動販売機の頭のてっぺんを見た。

とんでもなく汚くてびっくりした。

ボディの部分はとても綺麗なのに、上はあんなにも汚くなるものがとこれも少し驚いた。

けど、よく考えれば当たり前のことで、雨に打たれ、鳥が止まり、落ち葉がたまる場所なので汚くて当然なのだが、そんなことは考えたこともなかった。

・・・

視点を変えれば物の見方が変わる。

…なんてことは、そこら中で言われていることなので、特に私から言うことはない。

そんなことより「馬鹿と煙は高いところが好き」ということわざは、なんとかならんものかと思う。

私は高いところが大好きだ。
屋上や展望台、ジェットコースターや観覧車など、高いところから見る景色も上っている時のワクワクも好き。

そして、ただ闇雲に上ってぼーっとするわけではない。私だけじゃなく誰だって、いろんなことに気づいたり、思考を巡らせたり、感情を揺さぶられたりするものだ。

だからこの言葉は心外である。

それでも、このことわざが正しいというのであれば…その後に続けて欲しい。

けれど、馬鹿と煙にしか見えないものがある、と。

ちなみに、高いところは好きだけど、タワーマンションに住みたいという欲は全くありません。


今後も有料記事を書くつもりはありません。いただきましたサポートは、創作活動(絵本・書道など)の費用に使用させていただきます。