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転がる石に苔はつかない

博学おじさん(上司)と話していた時のこと。

WEBデザインやクリエイティブディレクターをしてきた博学おじさん曰く、経験値というのは実力に勝ることを実感していると言っていた。

例えば、10年間クリエイティブの仕事をしてきた人と、他業種に10年間勤めていだけれどずっとクリエイティブな仕事に憧れを持ち、経験もないが転職してきた人。

素質や実力に差はないとしても、この10年の経験というのは縮まることがないらしい。

むしろ、転職してきた人の方が素質や実力があったとしても、やはり「なんか違う」という違和感をデザインの所々で感じてしまうと話していた。

そして商業向けの広告やデザインに、新しい視点や発想はもちろん必要だが、「違和感」というのは敵だと。

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「転がる石に苔はつかない」ということわざがある。

アメリカでは、絶えず動き回り変化を求める者に錆はつかないという意味を持つが、元々はイギリスのことわざで、逆の意味を持っていた。

つまり、長年その場に居続け、踏みとどまることでその価値がつく。仕事を変えてばかりいてはダメだという意味だ。

アメリカでは悪とし、イギリスでは良しとする「苔」の捉え方の違いも面白いが、同じことわざで真逆の意味を持つというのも興味深く覚えていた。

博学おじさんは、きっとイギリス派だろう。

そして、転職が多かった私としてはアメリカ派…と言いたいところだが、転職を繰り返しだからこそイギリスの意味に共感してしまう。

よく転職組のメリットとして「前職の経験を活かしつつ、新たな視点を持つことができる」ということを挙げる人がいる。

職種も業種も異なるからこそ、知識の幅を広げることができると。

でも実際に働くとなると、そんなものは武器にならず、これまでの経験は無きものとして、まずは新たな環境に染まらなければならない。

これまでの経験や知識を活かせるのは、ちゃんと染まりきることが出来てからの話である。

そして、新たな環境にどっぷり浸かって染まりきっても、忘れずに取り戻すことができる知識や経験こそ、自分の武器になると実感している。

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経験がない人が成功しないとは言っていない。

違う経験があるからこそ見えるものもあるし、年齢としては遅咲きだろうと成功を収める人もいることは知っている。

ただ、長年続けてやっているものがある人とない人では大きな違いがある。これは仕事だけに限らず、趣味でもなんでも「続けられる」というだけで才能だ。

年輪は重ね、苔をつけていきましょう。


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