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大切に使うと見えてくるもの

新しい傘を買った。

傘を買うのなんて何年ぶりだろうか。
最近は、人からお古をもらったり、巡り巡って譲り受けるようなことが続き、傘を買う機会が全くなかった。

「傘は雨を凌げればいい」とは思ってない。
やはりデザインなり形なり、気に入ったものを持ちたい。

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5年前にもらったお古の傘は、ネイビーで柄が白く、表は無地だが裏は白い水玉模様のものだった。広げた時に通常の傘よりも丸みを帯びた形のものなのだが、私はその傘がお気に入りだった。

私に似合うと職場の先輩からもらった。
ただ新品ではなく、急な雨で止むを得ず買ったけど、留め具にリボンがあしらわれているので自分には少しメルヘンすぎるのでもらって欲しいと言われた。

確かにその先輩のイメージではなかった。

そうやって譲り受けてから5年、他にも様々な傘をもらうことはあっても、なぜか壊れたり何処かへ置き忘れる等して、縁がなく手放してしまってきた。

でも、この傘だけは何処かへ忘れても必ず手元に戻ってきたり、多少壊れても使える範囲のことだった。

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物でも人でも、その人に合うものや縁のあるものというのは、簡単には離れていったりしない。

仕方なく手放さなければならなくても、必ずまた縁があるものだと思う。

どんなに大切にしていても、壊れる時は壊れる。反対に、どんなに安くて壊れやすい物でも、大切に使えばずっと使い続けられるものもある。

そうやって、自分に必要なものとそうでないものは、こちらが意図せずとも勝手にふるいにかけられて、必要なものだけ残るのではないだろうか。

そして、正しくふるいにかけるための基本は、全てを大切に扱うこと。

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お気に入りの傘は、留め具のリボンは取れかかってしまったが縫い直し、強風で柄が曲がってしまったけれど使えないことはなかった。

しかし昨日、開く時に押す爪の部分のプラスチックがポロリと取れた。使えないことはないけれど、開閉のたびに剥き出しになった金属に触れなければならないので指は痛いし、もう寿命だと言われている気がした。

気に入っていただけに寂しいけれど、こればかりは仕方がない。

新しい傘も大切に使おう。
この傘はいつまで私のそばにいてくれるだろうか。

今後も有料記事を書くつもりはありません。いただきましたサポートは、創作活動(絵本・書道など)の費用に使用させていただきます。