お風呂が教えてくれたこと
湯船に入るのが好きだ。
特にこの時期、湯船に入ると体の部位によって感じる温度の違いを楽しむのも好き。
特に足先や手先は冷え切っているから、ジンジンするくらい熱く感じるのに、ザバンッと入ってしまえばちょうど良いお湯加減だったりする。
意外と二の腕とかが熱く感じて、気付かぬうちに冷えていたことが分かったり。
そんなことを考えつつ、身体中を茹でるように、だいたい同じ温度に感じるくらい温まったら、満足して出る。
温泉とか銭湯とかなら長く入るのも好きだが、自宅のお風呂ならすぐに冷めてしまうし。
これくらいの茹で具合がちょうどいいのだ。
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お風呂といえば、小さい頃から一番風呂に入ったときに起こる、身体中に気泡がまとわりつく現象が大好きだった。
まるで、ラムネの中に入っているビー玉にでもなったかのように身体中に泡がついて、湯船から出るとパチパチと消えてしまうあの現象。
中学の時、理科の先生がその手の脱線話が大好きで、「飽和」についての授業の際に「お風呂で体につく気泡の話」を教えてくれたのがとても印象的だった。
確か、水道水を沸かしたお湯の中には目には見えない空気がたくさん含まれていて、実は「過飽和状態」になっている。
つまり普通では混ざり合わないはずの空気量が、多量に含まれているということ。
しかし、そこへ入水すると体の凹凸などに反応し、刺激された空気たちが姿を表して体にまとわりつく…ということだったはず。
この授業で「飽和」という言葉と、「目には見えない限界を超えた状態」が身の回りにあることを知った。
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限界を超えても気づかないことがある。
それがちょっとした刺激で、姿を表すこともある。
私はあまり風邪などをひかない方で、ここ4年くらいは引いていないけれど、数年に一度風邪を引く時がある。
それって、疲れが「過飽和状態」にある時なのかなと思う。
自分では気づかないうちに疲れが蓄積されていって、何かの拍子にパンッと姿を表すのが風邪かなと。
よくテレビとか漫画とかで、普段大人しくて優しい人が、突然怒り狂ったり、泣きわめいたり、うつ状態になってしまうのも、同じかなと思う。
溜まりに貯まった空気たちが、一見水に溶け込んで目には見えない形で隠れて、ちょっとした刺激で姿を表す。
目に見えない、気づかないから厄介ですが。
だったら爆発する前に、ちょこちょこ刺激を与えればいいんだな、と思った。湯船に入る前に、手でかき回すと体につく希望は少なくなるのと同じで。
じゃあどうしたらいいのかは知らないけど…
でも、お風呂が教えてくれた「目には見えずにかくれんぼしているものがある」ということだけでも知っておいた方がいいなと思うのでした。
今後も有料記事を書くつもりはありません。いただきましたサポートは、創作活動(絵本・書道など)の費用に使用させていただきます。