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【短編選集 ‡3】電脳病毒 #57_248

「あの少年から慕われていたようだな。君は」
「薫陶を信じたい」劉は呟く。
「ならば、信じよう。君も同行することを条件に。M自治区。そこが本拠地ならば、その系統を破壊する必要がある。君にやってもらおう」
「ですが・・・」
「明朝、迎えをやる」魯の電話は唐突に切れる。
 翌日、劉は飛行機からその土地の有様を見る。茶褐色の不毛な大地。所々から上がる煙。その荒漠化《砂漠化》した土地。政府から見放された土地。広大な荒地や砂漠の拡がる。その土地は、中央政府の構成員とは異なる他民族で占められている。北方騎馬民族が多くを占める。農耕にも適さないこの土地。中央政府は、軍事実験施設、核廃棄場所、工場や労改の多くを立地させている。


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