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電脳病毒 #43_233

 失望感を招く要因は事足りる。灰色消費《公費の私用》、乱収費《公的機関による強制徴収》など官僚の腐敗。経済発展と貧富の格差の助長。中央での学生の蜂起、そして流血の結末。国境に近い特別自治区への干渉、労働改造所の囚人達の扱い・・・。人民の知らないところで、この国の歯車は狂い始めている。
 徐の古典劇の腕前は、それなりの域に達していく。やがて、中央政府から招聘を受けることになる。
 徐は長距離列車に揺られ、海側に位置する大都市へ。旧植民地の名残を残す西欧風の建物が海岸通に立ち並ぶ。欧米製を模した衣服を身につける気ままに若者達が闊歩している。開演まで数時間、徐は街の中心部から少し離れた電気街へ。短波広播を買うためだ。
 店頭には徐の地元にはない家電製品が陳列窓《ショーウインドウ》に。彩電には番組が何波道《チャンネル》が眩く映っている。ひとつひとつの画面に、徐は引き寄せられる。


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