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Dead Head #95_191
幸緒は紙を半分に折って掌に置き、達筆に綴り始める。
『ヒロシのこと ありがとうございました』縦書きだ。
ボールペンを受け取り、紙をベンチに置き書き殴る。
『ヒロシは どうして 東京へ ふたたび?』横書きだ。
幸緒とのやりとりが暫し続く。
『信じられなくて 自分が捨てられたこと』
『ヒロシは 知ってたんですね 墜ちたのは 父親ではないと』
『ええ』ペンを置き、幸緒は静かに頷く。
俺も頷き返す。二人の書いた紙をまとめて破る。紙の小片を宙に飛ばす。それはすぐさま風に捕まり、どこかへ舞っていく。Dead Head、流転禁止。
(了)