Dead Head #28_125
「夜勤の母親を、二人、迎えにいくところなんで。夜道は危ないし」と代わりに答える。
付け足しにヒロシの頭にそっと手を置く。ヒロシは嫌そうに頸を捻る。
無線の音が鳴る。警官は立ち上がり、俺達にそっぽを向き無線に頷く。
「では、気をつけて」警官は自転車に跨る。確固たる自転車登録情報が、生身の人間にも勝るとは。警察も大したことはない。警官の背中を見送る。俺とヒロシ、顔を見合わせにんまり。
「行っちゃったね」
「ああ。いい親子らしく、それなりに見えるんだな。俺達も」
五 とう
俺達は、また歩きはじめる。向こうにラーメン屋の赤い提灯。
「食べる?」ヒロシが俺を見上げる。
「金がない」首を振り、ズボンをまさぐる。