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【短編選集 ‡3】電脳病毒 #56_247

「生命体って?」
「そのうちわかる。どのくらいかかる?この程序を数千万客戸《クライアント》に転送するには」
「そんなに時間かからない。自動化程序を作ればいいだけだから。それで同報転送する」
「そうか。では頼む」男はそう言うと、月台の上に戻っていく。
「うん」薫陶は思う。これが最後の仕上げになるのだろうと。

十一 M自治区
 電話の鈴《ベル》。劉は目を覚ます。
「傳真を受け取った。これが、例の暗号の中身かね?」
「ええ」
「M自治区か。この内容は真実と見ていいのか?」
「信用していいと思います。暗号の解読方法がわからなければ、ただの偽情報でしかなかったわけですから」


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