見出し画像

【短編選集 ‡3】電脳病毒 #72_263

「準備が整ったと、徐は言っていた。一体何の?」
「この国の網絡《ネットワーク》を掌握するのは手始め。その先は革命」
「革命?網絡《ネットワーク》を掌握したくらいで?」
「ここ数日中に何か起こる」
「とにかく、ここを出なくては」劉は立ち上がり、混擬土《コンクリート》ブロックの壁を探る。
「無駄だよ。僕たちは革命が終わるまでここを出られない」
「本気か?」
「一週間分の水と食糧はここにある」
「一週間・・・」
「扉の自動鎖《オートロック》、一週間後に自動解除される」「繋がらない」劉は衣兜《胸ポケット》から手機《携帯電話器》を取り出し画面を注視する。
「無理だよ」
「どうせ、革命なんか夢物語だ」劉は薫陶の前に座り込む。


この記事が参加している募集