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【短編選集 ‡3】電脳病毒 #60_251

 魯は葉巻をもみ消す。重いトラックの扉を、勢いをつけ開け放つ。劉は魯に続く。混擬土《コンクリート》造りの校舎が何棟かくすんでいる。だが、学生らしき姿は見えない。
「休校中ですか?」
「取り調べ中だ。学生に協力者がいるとも限らない」
「全員をですか?」
「当然だろう」
 学内掲示板を頼りに、劉は電脳室に向かう。途中、電脳実習室を通り過ぎる。劉は目を見張る。数十台の台式計算机《デスクトップパソコン》は酷く破壊され、どれも使い物にはならない。
「地元の軍警察が先走った。奴ら、電脳を見れば見境なく破壊する。書物が焼かれた、あの当時を思い出す」魯が劉の背後から声を掛ける。
「確証が?この大学が事件に関係があるという」


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