電脳病毒 #32_222
隣国では年間二百万台以上の廃棄電脳が発生、年々倍増していた。制造商《メーカー》は処理機の性能アップ競争に倣い、新型電脳《コンピューター》を市場に投入。新製品が旧製品を短期間で駆逐しながら、電脳《コンピューター》市場は目まぐるしく回転した。多くの電脳《コンピューター》が新たに作られていく一方、それを上回るペースで電脳《コンピューター》が新古機として塵となる。塵の山と化した電脳、どう処理すればいいのか?制造商《メーカー》はモノ売りと、環境保全のトレードオフとの困境《ジレンマ》に陥る。当然、商売を優先することは自明の理だ。隣国では処理機、操作系統《OS》とも特定海外製品に頼るのが前提。それゆえ、設計《デザイン》の差別化、価格競争に制造商《メーカー》は翻弄され続けた。その行く先が、廃棄電脳《コンピューター》の増大だ。
その廃棄電脳《コンピューター》は、終の住処としてこの国に大量に持ち込まれた。国際条約で、廃棄物の海外輸出が禁じられていたのにも関わらずに。環発《環境を配慮した開発》を唱った、この国の政策にも相反していた。