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【短編選集 ‡3】電脳病毒 #118_298

写真は家族と一緒に撮るものでしかない。芸術として写真が認められることもない。あの国では・・・。
「波乗りはしますか?佐田さん」
「波乗り?するように見えるか?」佐田は膨れた腹をさする。
「波乗り板を拾ってきたので。塵捨て場で」
「どうして、サーフィンなんか?」
「国に戻れたら、のってみたい」
「そんな海辺あるのか?」
「海ではないです。川です」
「川?そこでサーフィンやろうっていうのか。いくら川幅が広いたって、のれるような波なんか」佐田は茶を丼に注ぎだす。
「あるんですよ。年に一度、上流に向かって川が逆流して」


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