【短編選集 ‡3】電脳病毒 #68_259
「こんな奴が来た」劉の名刺を張は徐に差し出す。
「劉が来た」徐は一瞬名刺を見て呟く。
「うん」顕示器に向かったまま薫陶は頷く。
「知り合いか?」と、張。
「ああ、友達さ。なあ、薫陶。それで?」
「例の大学で、ここを見つけたらしい。それで、探りを入れてきた」
「そうか」
「あいつら、あの大学の台式計算机を叩きつぶして、筋違いもいいところだ」
「だが、ここを見つけた。あの大学に目を付けた理由は?」徐は薫陶に一瞥をくれる。
「客が自ら病毒にやられたって言いふらすわけない。俺達だって