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4月8日

お家時間を楽しむための食器購入、第一弾のグラタン皿が届いた。こっくりとした飴色の、楕円形耐熱皿だ。マグカップ以外全て百円ショップのプラスチック食器で揃えているうちに、この心地よい重みのあるお皿が加わることは大きい。早速マカロニグラタンを作った。来週はminoさんがレシピを公開してくれた、パルマンティエを作ってみるつもりだ。

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大学は前期は基本的に遠隔授業を行うことが決まったので、PCの置き場所が無くなっていた勉強机を片付けた。それにしても趣味の道具が多い。手芸用品、アクセサリー作りのための工具、ミシン、メヘンディの染料、レザークラフトセット、etc..私は物を買う時、かなり優柔不断で妥協が出来ないので、ならば自分の欲しいぴったりのものを自分で作ってしまえとなるので、結果的に多趣味のように見える。自分が使う分しか作らないので既製品を買った方がはるかに品質もよく安くつくとは分かっているが、やめられない。最近作った革のショルダーバッグは一番のお気に入りだ。

小川洋子と河合隼雄の対話集「生きるとは、自分の物語をつくること」が届いた。御二方の著作はどちらも複数所持しているので、その二人が対話していて、しかも題名がこれときたら、読まずにはいられない。
最初の対談は小川洋子の代表作「博士の愛した数式」を起点としたものだった。私はこの作品で初めて小川洋子の世界に触れて、どんどん魅了されていったのを覚えている。この本をきっかけに数学の美しさにも興味が出て、「フェルマーの最終定理」や「浜村渚の計算ノート」も読むようになる。

二つ目の対談の冒頭で、小川洋子が「人は、生きていくうえで難しい現実をどうやって受け入れていくかということに直面した時に、それをありのままの形では到底受け入れがたいので、自分の心の形に合うように、その人なりに現実を物語化して記憶にしていくという作業を、必ずやっていると思うんです」と言っている。私はうつ病の酷い時期に、何篇か小説を書いている。後から内容を見返すと、あの現実を乗り越えるために必要な物語、必要な作業だったのだとわかった。当時はそんな意識は無かったのだが、あからさまなほどに自己が反映されている。心の中にとどめておききれない現実を、一旦紙の上に別個の物語として書き出して切り離すことが必要だったのだろう。
こういう経験があって以来、物語ることの癒しや、物語のもたらす力について考えるようになった。物語の<元型>、世界の童話、それこそ河合隼雄の「昔話の深層」などを読んだりしている。小説を書く、というとなんだか難しそうに感じるが、一頁でも二頁でも始めて終われば物語である。

物語を始めるだけ始めて終わらせていないものが幾つかあるので、家にいる時間が増えた今、どんな形でも終わらせたい。


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