見出し画像

#4 研究活動もオンライン(stand.fm配信用原稿)

(これは、stand.fmに開設した「kazの研究室ラジオ」の配信用原稿です。音声配信については、以下のstand.fmの僕のページから聴いていただけます)

01 あいさつ・番組紹介

(この番組は、とある地方の私立大学で教員をやっている僕、kazが大学教員や研究者としての視点から、日々の生活や、いつも考えていること、たまに学問的な関心や学術的なことなどをマイペースに発信していく番組です)

02 本編:今年は研究活動も全部オンラインになりました…

・前々回、今年は授業が全部オンラインになって、その準備が大変!というお話をしましたが、オンライン化されたのは授業だけではありません。

・今年は研究にかかわるいろんな活動も、基本的には全部オンライン化されました。

・僕のような歴史研究の方法で研究をやっている人の研究活動は、おもに論文投稿、学会発表、資料調査が軸になります。

・このなかで論文投稿については、基本的にはメール、学会によっては未だに紙原稿が求められるので郵送ということもありますが、いずれにしても原稿さえ送信すればいいわけで、今年のようなコロナ禍でも普段と変わりません。

・ですが、あとの2つ、学会発表と資料調査は、このコロナ禍でやり方が大きく変わりました。

・まず、学会発表ですけれど、今年はほとんどすべての学会の研究大会はオンラインで開催する、もしくは中止ということになりました。

・学会の研究大会が開かれるのは、僕が所属している人文社会科学系の学会では、5月から6月、あるいは9月から10月というところが多いので、今年2月から3月の感染拡大の時期にオンライン開催の方向を固めて、それぞれに準備を始めたという感じです。

・ほとんどの学会ではオンラインでの開催という経験はありませんでしたから、ほぼ手探りの状況で運営の方法を探っていたというところがほとんどでした。

・Zoomなどのオンラインミーティングサービスを使った「リアルタイム」型で開催したところが多くありましたが、なかにはウェブサイトに資料だけ公開してサイト上で意見交換みたいな形で済ませたところもあったようです。

・で、運営側も手探りでオンラインでの学会開催をおこなったわけですが、当然、学会で研究発表をする発表者や参加者も、手探りの状態で学会に参加することになりました。

・僕も今年はZoomを使ったリアルタイム型の形で学会発表をしましたが、事前に何度も事務局とZoomで接続確認や打ち合わせをしました。

・僕自身は全然問題なくできましたが、他の発表者や参加者のなかには操作に慣れていない方や接続環境が悪い方もいて、たびたび進行が滞るということがありました。

・それ以前に、大会への参加者自体が少ないうえ、なんとなく年配の方の参加が少なかったように感じられて、オンラインでの開催ということになった時点で、「参加しない」と決めた方も多くいたのかなあという感じでした。

・確かにオンラインだと、休憩時間に普段は会えない研究者との思わぬ交流があったり、発表後になんとなく参加者が集まって雑談したり…というようなことがないので、学会発表の「楽しみ」が削られるような気はしました。

・あらためて、リアルな交流のなかでいろいろな刺激やきっかけを得ていたのだなあと実感しました。

・もちろん、オンラインだからこそいろんな人の発表を時間的・空間的な制約を気にせずに聴くことができるというメリットもあるのですが…

・僕も含めて、学会で発表するということに何を求めていたのか、多くの人が考えるきっかけになったかもしれません。

・あともうひとつ、資料調査ですが、これは単純に現地に行って調査ということができなくなってしまいました。

・僕は台湾や香港をフィールドにしているのですが、毎年2・3回は実施していた海外への資料調査は、今年はまったくできていません。

・また、公共交通機関を使った移動が職場的にも家庭的にも憚られる状況なので、国内での資料調査もままなりません。

・そうなると、オンラインで公開されているような資料ぐらいしか調査することができません…

・でも、歴史資料ってまだまだデジタル化されていないものが、それこそ無数にあるんですね。

・そういう資料を見ることができないとなると、歴史研究の場合は、研究そのものが進まないということになってしまいます。

・幸い僕は、今年はそれまでに収集していた資料を使って研究を進めることができましたが、来年以降が心配です…

・実際に学会でも発表する人が少なかったり、論文の投稿数が少なかったりという話を見聞します。

・みんな、研究が出来ていないんだろうなあと想像しますが、特に今、博士課程にいる大学院生や若い研究者にとっては厳しい時期だろうなと思います。

・こうした意味で、新型コロナウイルスの感染拡大は研究の停滞を招く側面もあって、その影響はこれから数年かけて現れてくると思うので、ホント、早く収束してもらいたいなと思います。