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アートという文脈における自己の作品の座標を探求し、自己の中心点と融合させる試み

「淘汰」「うたかた」

一見するとその瞬間に意義を見出すことは難しい「愛する人を傷つけること」「環境破壊」「戦争」「コロナで大勢死ぬ」のようなある種の「破壊」が、その苦しみが、必然性をもって起こっていたとしたら。いつか全てに、意味づけができるのだとしたら。


破壊は起こるべくして起こり、また新たに創造が繰り返される。もはや人間が主体として事象を捉える思考を超越した、大いなる流れの中での自然な「淘汰」

ある瞬間当たり前のように存在したものは、水泡のように次の瞬間には消え失せる「うたかた」

この2つの概念を中心に据えて


その刹那性、破壊と創造の流れの中で変化し続ける、その一瞬の美しさを捉える試み

淘汰に逆行する営み(例を挙げれば、哲学者ティモシー・モートンのいうコロナ下での「生の両義性(alive, survival)のバランスの崩壊」及び「友敵のような対立構造」のようなもの)への、あるいはそこに横たわる人間感情への、アイロニーを込めた行為

プリミティヴィズム的な原始の崇拝、逆進的なユートピア思想を超えて、大いなる流れの中で、まさに今この瞬間に目を向ける試み

と、してのアートをしよう、自分をそのあたりに置いてやってみよう

てなことを、考えていた


要は

小さな仲違いだろうが、戦争に環境破壊にコロナだろうが、起きることは起き、そしてその喜び、苦しみのひとつひとつに意味があるのだとすれば

「昔はよかった」とただ過去を良しとするということでもないし
「先が見えない」とただ未来を憂えて不安に生きるということでもない

今この瞬間の美しさを見つめてみる
全ての営みの中にある美しさと向き合い、生命の目的を探究し、世界を観測する

じゃあそれは、どうやったらできるだろう

ってな感じ、かな。これが、主題。


おそらくこれは、モネやルノワールら印象派が見ていたものと、方丈記に見る「うたかた」や、江戸の民衆の大火への価値観なんかに通ずるものがある。そんな感じ。


やはり僕が絵を描く原動力であり、この怒りであり、そして祈りであるのは、

「僕ら」が生まれながら背負った運命に、その痛みや苦しみの中にあるから。

それでもまだ使命をもって、生きなければいけないと、知っているから。

それを、作品にしたい、から、ね。


さて、自己の作品の意味付け、位置づけを考えるうえで、僕が特に着目した欧米のアート史的なコンテクスト(をかいつまん)でいうと

印象派(「刻々と移り変わる光と影」「一瞬の美」)
 ↓
ドイツ表現主義 (「目に見えないものの主観的表現」「プリミティヴィズム」「宇宙・運命・生命」「退廃した市民社会への批判と挑戦」)
 ↓
シュルレアリスム(「無意識」「哲学的思考」「日常に変化・影響を及ぼし政治・社会革命的要素を含む」)
 ↓
抽象表現主義 (ここでは特にロスコを引き合いに「見た人の心を動かす絵画」「宗教的体験」「基本的な人間の感情」「はかなさ」「アイロニー」「希望」「感術的」)
 ↓
コンセプチュアル・アート(「対話」「想像力」「知術的」)
 ↓
新表現主義(「情動」「人物・歴史・神話的主題」「鮮やかな色彩」)

こんな感じ。

この流れを踏襲し、否定しながら、現代、2021年の今現在、必要とされているもの、そして自分の原体験、根本のパーソナリティまで遡ったときに、今自分が表現すべきものを探す、という手順で

今現在辿り着けた限界点が、先に述べたあたり、という感じ。

まあ、根本にある思想は、ずっと変わらんのですけどね。最も正確にそれを表せるワードの選定をして、より文脈の中でわかりやすくしようとしてるだけで。

これをまだまだ何回も何回も繰り返して、研ぎ澄ませて行く作業なんでしょうけど。

まだ、もっと洗練するために、どんなメディウムで、どんな技法で、方法論で、作品を生み出していくべきなのか、そして、最終的にどう理念化、概念化していくべきなのか、全然わかっていませんけど。

まあなんにせよ、やっと言葉にできてきた。

久方ぶりにやっと、作品を生み出すことに向き合えそうです。


繰り返しになるけれど

やはり僕が絵を描く原動力であり、この怒りであり、そして祈りであるのは、

「僕ら」が生まれながら背負った運命に、その痛みや苦しみの中にある。

それでもまだ使命をもって、生きなければいけないと、知っている。

それを、作品にしたい。それは変わらないのであります。


以上、この数週間考え続けたことの一旦の、脳みそ整理がてら、書き置き。

さてさて、どうなるやら。至極しんどそうなもんですが、面白そうなもんではありませんか。


2020/03/10.

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なんかインスタのリンクはよくわからんけどちゃんと僕のページに飛ぶ。



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