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第110回フィルムさんぽ(中判回)に参加してきた件
今回、いつもお世話になっているフィルムさんぽの中判回が開催された。
中判とはなにか、という所から説明をしていくと、通常(まだ)馴染みがある方のカメラフィルムというのは35mmフィルムとも呼ばれる。映画なんかに詳しい人はピンとくるかもしれないね。中判は簡単に説明するとフィルムのコマの面積が35mm判の倍くらいある、まあ簡単に言うと普通のカメラよりデカいカメラだ。
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一コマ当たりの大きさが全く違うことが判るだろう。当然、使うカメラも(比較的)よく見るフィルムカメラより大型のものとなる。
さて、この中判回。私は勿論過去何度か参加したことがあるのだが、参加者の方に人気があるカメラの一つに「ハッセルブラッド」というカメラがある。
中判フィルムを使う一眼レフのカメラで、スウェーデンが誇る素晴らしいカメラだ。過去の回でみんなハッセルを使っているものだから。
使っているものだから。
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使っているものだからつい羨ましくなり、我らがソビエト連邦が作っていたハッセルブラッドコピー(ソビエト脳曰くこちらの方がナチスドイツの航空カメラのライセンスを戦後賠償として手に入れた由緒正しいカメラで、スウェーデンの方が墜落したドイツ機から作ったコピー品らしいが流石に頭ソビエト過ぎるのでお外で言うのはやめよう)のサリュートというカメラを買った。
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2台。
だって銘板銀色の方がカッコいいじゃん。
コピー元ハッセルブラッド自体が非常に優秀かつ複雑なカメラであったことと、当時のソ連の中ではかなりの高級機であったため、実はこのカメラの出来そのものは大変よろしい。ソ連のカメラでもこのサリュートとKievに関してはちゃんと使える事が多い素晴らしいカメラだ。
さて、今回の中判回にはこのサリュートを2台同時に投入することにした。普通撮影会にサリュート2台を持ち込むような人間は西側諸国ではあまりいない筈なので中々珍しい試みであると思う。
ところが、このサリュートには一つだけ弱点があった。これはオリジナルのハッセルブラッドにおいても発生しうるトラブルで、フィルムをセットするフィルムマガジンの遮光が経年劣化でダメになっていき、隙間から光が漏れ入ってしまう、というものだ。
『ハッセルブラッド ライトリーク』で調べると結構出てくるんじゃないかな。
私のサリュートは元々ウクライナで整備されたものであることに加え、手元の5〜6個のフィルムマガジンの中で最も状態がよく正常に動くものにダメマガジンから部品を流用して可能な限り実用出来るようにしたものではあるのだが、それでも暫く使ううちに時折ライトリークが発生するようになっていた。
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この写真の下部なんかライトリークの症状が出ているが、まあ作風です!と言って通らないこともないのでそのままフィルムさんぽの講評に提出したのだが、まあそんなこんなで中判回に持ち込むにしても少しばかり不安要素がある。
そこで。
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卑怯とラッキョウは大好物の私は、サリュートが2台あることを利用してライトリーク対策でフィルムを2本現像させて欲しい、とワガママを打ち出した。結果この直訴が認められ、ダブルサリュートフィルム2本体制で参加出来るようになったのだ。
そして、それはフィルムさんぽ前日の夜だった。
帰りに職場近くの普段フィルムを買っているお店でバラ売りの中判フィルムを買おうとしたところ
「取り扱いやめちゃったから取り寄せは出来るけど今はないよ」との回答であった。
これだから埼玉は!!これだから埼玉は!!
別に当日フィルムを購入することだって出来るのだが、たまたまカメラを引っ張り出していたら、段ボールの中から箱に入ったままのフィルムを一本発見した。
4年くらい前に買ったフィルムだ。棚の奥に仕舞ってすっかり忘れていた。フィルムは箱の中に、更に遮光を兼ねた銀色のアルミ袋に入っている。
最近はフィルム高いからな。これを使えばいいだろう。
こ の 安 易 な 考 え で 痛 い 目 を 見 る こ と と な る 。
果たして撮影会がスタートし、中判回は頻発する機材トラブルなどもありながらもモデルさんを交えて和気藹々と進んでいく。
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使おうと思っていたコーワシックスが壊れて動かず、急遽レンタルカメラを使っていたが途中立ち寄ったカメラ屋さんで偶然同機種が売られているのを発見しその場で買い替えて即使用する、という物凄いウルトラC挙動をされていた参加者の方がいたのが個人的ハイライト。
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そして『フィルムさんぽ中に立ち寄ったお店で買った機材を即使用した際の購入価格ランキング1位』のタイトルホルダーだった私が一気に倍近い金額差を付けられて2位に降格した。
撮影は円滑に進み、私は念のため2台のサリュートのフィルムマガジンに遮光用のテープを貼り2台体制で使ってゆく。
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35mmサブカメラとして持ち込んだZorki-1(バルナックライカコピー)も活用しバシバシ撮影だ。
私は本家バルナックも持ってはいるのだが、板金ライカコピーのZorkiの方が一回り小さく、割と収まりが良いのでよく使っている。
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また、途中でレンズスワップやカメラ貸出などをしてゾルキーと付属レンズの素晴らしさを楽しんで貰うための教育プログラムを実施したりもしていた。
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さて、現像待ちの時間でお昼ごはんを頂くが、主宰の元にラボから不吉な電話が。
「kazさんフィルム何使いました?」
「えっ、家に転がってたシネスチール50です」
「なんかねえ」
「カビが酷くてちゃんと映ってないらしい」
ガビーン!!!!
(駄洒落ではない)
実際講評時に手元に返ってきたネガを見て私は頭を抱えた。
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疫病じゃん。
ラボの中の人にも「買って3〜4年とは思えない。余程高温多湿の所に置いておいたのでは?」
え、ええ……高温多湿かもしれません。今年の1月に引っ越して来た際に荷物に紛れ、冷房のない自室に放置して10月13日に段ボールの中から出てきたやつなので……
いやイケると思ったんだよ!!
アルミ袋に入ってたし!!フィルム自体は段ボールの奥の方だったし!!露出1段下げれば行けるかなーって!!
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結果はこう。疫病。
ま、まあアレよ。実はもう一本PRO400Hも同じ箱から出てきたんだけどこれで心置きなく捨てられるわ。
実はこれはフィルムマガジンの光漏れが激しく、テープで遮光措置したものの念のための予備の方のサリュートSのフィルムであり、本命のサリュートのフィルムはちゃんと別にある。こっちはちゃんと冷蔵保管したエクターがあるので……
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なんか左上に光が漏れてるー!!!!
後で検分したところ、このサリュートは初期のハッセルブラッドのパクリなので同様に金属製のフォーカルプレーン幕シャッターを採用している。本家であるハッセルブラッドですら故障が多くすぐにレンズシャッターに生まれ変わった為寿命が短かったシステムなのだが、どうもこの金属幕に若干の歪みか隙間が生まれていたようだ。こちらもちゃんと遮光措置はしたものの、隙間から僅かに余計な光が入っていると思われる。
因みに遮光措置をしたサリュートSの方はライトリーク無し。フィルム選択以外に問題は出なかった。
そんなこんなで割と痛い目に遭った撮影会であるが、まあ左上の謎の光は心の目で見ないようにして見ていって欲しい。
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いや写りそのものは素晴らしい訳なんですよ。モデルさんにはゾルキーを持って貰ったのだが、
これは予め
「撮影会にはダメージジーンズを履いていく」
という情報と、
「撮影会は路地裏を中心にポートレートっぽくやる」という情報を持っていた為、
ストリートっぽくゾルキー持って貰ったら絶対に似合うでしょ、という読みによる計略である。
こういうのは読みが当たったんだけどフィルム代ケチってポンコツフィルムを使って失敗する辺り詰めがものすごく甘い。
そのうち遮光したサリュートSにちゃんと新しいフィルムを詰めてリベンジしてやりたい。
しかし今回は手痛い失敗だった。サリュート3台目を買い替えるか一瞬検討してしまったくらいだ。
流石にフィルムさんぽ中に立ち寄るお店に完動品のサリュートなんて置いてないしなあ。
kaz
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