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第111回フィルムさんぽ(多重露光回)に参加してきた件



 いつもお世話になっているフィルムさんぽの多重露光回企画があったので今回も参加をしてきた。

・恐怖を知ってもその足を止めないで

 今回は「多重露光回」というテーマである。多重露光とは一つのコマに複数の写真を重ねることで幻想的・アーティスティックな作品を構築する写真テクニックである。以前も一度参加したことがある。

 実は私はこの多重露光、あんまり得意ではない。

 今回は講師の先生とモデルの方を呼んで、セミナーを別途開催して頂ける事、また今回面白いな、と思ったのがフィルムさんぽ初の試みとして
「35mm判と中判(66判に限る)どちらでも参加できる」というかなりエポックメイキングなルールであったことだ。
 通常、中判回やハーフ回などが開催されるときはあくまでそのフォーマットのフィルムカメラ限定であり、混在はできない。
 今回はそのフォーマット混在OKとなる初の企画回だったのだ。
※後記:現像するカメスズの中の人の負担が物凄いことになっていたらしいのでもう開催されないかもしれない

・宇宙の果ての惑星で悩むボクを笑えよ

 元々、私は多重露光そのものがあんまり得意ではない。中判機を使えるという実に魅惑的な提案があったものの、どの機材を使おうか。
 そこで白羽の矢を立てたのがこのカメラである。


 北京宝源光学製の66判一眼レフ「Great Wall」。別名長城という。そのDF-5型となる。
 このカメラそのものはまあ誕生日ということもあるし、比較的状態の良さそうな販売品を見つけたし取り敢えず東側のカメラなのでホイホイ買っておいたものであり、丁度テストのネガが上がってきていた。



 そのうち紹介するが割と素っ頓狂な作りではあるのだがこの通り、映りそのものには問題がない。多重露光機能もちゃんと付いている。
 ただし、多重露光のテストもしてはみたのだが何故だか上手くいかない。ちゃんと多重露光にはなっているのだが像が薄くて綺麗に出ないのだ。シャッタースピードが表記より遅くて結果的にプラス補正になってしまっているのかもしれない。
 中判回で使用するくらいなら良いのだが、頼みの多重露光がどうにも不安定では多重露光回に使用するには信頼性が劣る。むむむ、どうにも迷ってしまうぞ。

・全然それでも構わない

 そういった理由で私は今回の多重露光回への参加を正直どうしようかなあ、と悩んでいた。そしてダメ元で主宰に愛のままにワガママに僕がミスしても傷付かない方法を提案する。

「サブ機でCONTAX AXか139辺りの間違いないカメラを持ち込んでメインがしくじったらそっち出してもいいですか?」

「良いですよ!」

 

ま た で あ る 。

 ※こちら参照

 紆余曲折はあるもののそこまで許してもらったら出ないわけにはいかない。サブ機AXは普段は競馬撮影他のメインとして使っている機種で、オートフォーカス、多重露光、スポット測光とほぼ全部入りのカメラだ。デカいこと以外大した欠点がない。


多重露光にて

 しかしAXをヤシコンレンズでそのまま使ったのでは少々芸に欠ける。そこで少し悪巧みを企んだ。


 ヤシコン→M42マウントアダプターを使用して東ドイツのM42スクリューマウントレンズのみ使う。CONTAX AXというカメラは頭のおかしい造りをしているため、これらのレンズの組み合わせであれば全てオートフォーカスが使える。多重露光機能とオートフォーカス機能、AE機能とおまけの疑似マクロ機能もあり万が一の保険は万全に手厚い。損保ジ◯パンとは違うのだよ。

 とはいえこれはあくまでサブ機である。メイン機のグレートウォールで綺麗な多重が出来れば何にも心配が要らないわけだ。さあ!頼むぞ、グレートウォール!!

・空模様なんて気にもならない

 さて今回、前日の天気はまさに大荒れ。豪雨と言ってもいいレベルの雨が降り注いでおり、さんぽ用のフィルムがISO100しか余っていなかった私にとって少々懸念事項であった。

 翌朝。

 昨日の雨はカラッと上がっていた。

 私のパッシブスキル【イベント時の晴天率が上がる】が発動したのだろう。
 ちなみにフィルムさんぽの私が参加する回は以前検証したことがあるが93%くらい晴れている。

 
晴れ男
  ↓
 太陽の子
  ↓
未来予報はいつも晴れ

の順にランクアップするパッシブスキルである。これまでの全参加回で2回ほど雨に降られたことがあるかな。

・別に無鉄砲なんかじゃないんだよ 頭もソコソコ使ってる

 今回使用するこのグレートウォールとかいう変なカメラ、まずシャッターチャージ時をするとミラーボックスごと降りて来てシャッターも兼ねるという中々おかしい設計の他にもう一つおかしい点がある。
 交換用のレンズが存在しないのに何故か39mm径のねじこみマウントでレンズが取り外しできるようになっているのだ。どうも話によるとベローズなどのアクセサリを取り付ける事を考えられていたため、という話もあるのだがこれにより物理的にはバルナックライカのようなL39マウントのレンズを取り付けることが可能だ。

まあソ連のレンズだが

 勿論フランジバックは全く合わないので近接専用になる上、レンズのピント位置もマウント後ろの謎のリングが干渉してしまうためヘリコイドの可動域も限定されてしまう。

 しかし。




 その注意事項さえ折り込んでおけば応用として中判カメラで15cmくらいまでの超近距離にピントが合う。

ギガマクロ仕様

 初期ゼニットM39マウント用のレンズも同様に物理的には取り付けることが出来るため、元々近接撮影も出来るIndustar-61 l/z(M39マウント用)などを持っていると最短4〜5cmぐらいまで寄れる。
(露出に約二段分ほどマイナス補正が掛かるが)
 これを悪用することで普通の中判カメラでは撮れないような妙な写真が撮れるのではないか。そう考えたのだ。

・金愛心体この星じゃ全部繋がってる

 さて、事前に配布があったテキストを読み、今回は講師の先生の説明がZoom動画で行われるという試みがあった。ちなみにセミナー開催時間は私はバーで呑んでいたので後で録画を見た。
 準備は万端、早起きもしてきっちり集合時刻15分前に現場に着いた。さて、参加費を払おうとしたところ……

 財 布 が な い 。

 前日に脱いだ仕事用のスラックスの中に財布を入れたまま洗濯カゴに出してしまっていたのだ。1000円ちょっとくらい入っている小銭入れはちゃんと持っているんだけど。
 すわ一大事、取りに戻っている時間なんてない。そうだ、私の使っているSuicaにはクレジットカード機能がある。これでそこいらのATMでキャッシング出来れば……

 ATMがない。

 いや、あるんだけどまだ時間が早いのか施設が開いてない。

 周辺をあれこれ探してなんとか発見、無事参加費と昼食代をキャッシングして手に入れることに成功した。まだ集合もしていないのに今回、波乱のヨカンである。


・風の強い日はアレルギー

 撮影自体は恙無く進んでいった。モデルさんを招いてポイントポイントで多重露光のテクニックの解説をされながら写真を撮る。

 先述したとおり、今回私はメインと保険用のサブの二刀流での撮影となり、更に24〜27枚推奨のところを手元に残っている36枚撮りフィルムを使ったため多重露光会(1ショット撮影するために複数回シャッターが必要)には余り向かず、結構慌ただしい感じであった。
兎にも角にもなんとか撮り切り、フィルムの回収が行われる。

「二本現像に出す人いますー?」
「あ、はーい」

手を挙げて二本目のフィルムを追加料金と一緒に提出した時。

「あっ」

唐突に吹き込んだ風に私の1000円札が飛ばされ中空を舞った!

「えええええええっ!?」

 マリンウォークの曇空をまるで漫画のように舞い上がる野口英世。
 慌てて追跡するがふわり、ふわりと舞う1000円札は中々落ちてこない。結果的に出店の飲食スペースになんとか落下した1000円札をキャッチして頂いた。
 いやああも綺麗に金が漫画のように舞うのは初めて見た。競馬新聞やハズレ馬券ならよく見る。
 
なんというかスタートから金に纏わるトラブルが妙に多い回である。マジで。

・悔やむのは一夜に喜びは永遠に


 そして内心ドキドキの講評が始まった。返されたネガを見て私は「よっしゃっ!!」と快哉を上げた。

 なんとフィルムさんぽ参加史上最もアガリがよい。懸念だったグレートウォールの多重露光もばっちりだった。




 ここで重ねているバラの造花がM39ゼニットマウントのIndustar61を使用したギガマクロモードで撮影したもの。ワーキングディスタンスは約5cmくらい。普通この距離で撮影できる中判カメラはないのでこの手のアングルは私の独壇場だ。



 この写真で使用した紅葉の造花もギガマクロモードにかかるとここまで寄れる。


 期限切迫でキタムラで投げ売られていた(それでも3200円くらいした)エクタクロームE100のクロス現像を行ったサブのAXでも中々よいカットが撮影できた。



 実は多重露光のテクニックの中でもフィルムネガを使ったこの「シネマショット」というのはフォロワーの作例を一度見てから一度やってみたかったものだ。

 ネガを並べてライトボックスで照らしてー、という下準備が必要なので理屈は知っていても中々出来ない。今回はこの撮影が出来るように用意して頂いていた為、見様見真似でやってみた。



これは物凄く上手く行った。
東ドイツのMeyer-Optik製Lydith 30mm F3.5という寄れるレンズでネガを撮影。構図をスマホで記憶しておいて、目元を消さないようにフレーミング。レンズを交換し同じMeyerのPrimotar 135mm F3.5という中望遠レンズで人物を重ねた。
 このPrimotarというレンズは私のお気に入りの一本で、開放に近い絞りで撮ると背景が油絵のようになる。

PENTACON IV (FUJI 400)にて撮影

 これを利用して人物の背景を緑で塗りつぶしたような効果を出してみたものだ。
目元を残した狙いと塗りつぶし風ボケを講師の先生にとても褒められてむふー、という気持ちになった。


同様の手法で。

こちらは逆に目元を隠すように撮影している。
仮面ライダー龍騎のOPで目が塗りつぶされたおっさんとか子供とかいたじゃん。あんなイメージだ。

 勿論東ドイツのレンズだろうがM42だろうが問答無用のオートフォーカス。万が一グレートウォールの多重露光が失敗してしまった時の保険だったので兎に角誉れを捨ててAFAE疑似マクロに頼りまくりだ。
 
AX自体は残念ながら西側の機械ではあるが私にとっては物凄くお気に入りのカメラである。


 駐輪場の白抜き看板と近くの自転車を使って。意図的に構図を少しズラして自転車側のメカメカしいとこを飛ばさないように使っているのがポイントっちゃポイント。

 AXにはボディ内フォーカスを固定することで、レンズ本来の最短撮影距離と関わらずマニュアル接写できるマクロモード機能がある。それを利用して通常の多重にバラの接写を追加した。



 どこかで見た構図だな。あっ、セーラームーンの初代OPか。



 階段を登る主宰と白抜き看板。実は前回の多重露光回でも主宰のカメラと同じ看板で多重露光をしている。


CONTAX 139

・また 逢いましょう いつかどこかで

 そんな訳で、今回の多重露光回は財布を忘れるところから始まって中々満足できる結果で着地することとなった。
 ただ、オートフォーカスまで持ち出してズルしているのに打率は5割前後であるし、ワンパターンなものも目立つ。
 多重露光は上手く決まると物凄くかっこいい結果が出てくるわけだが、やっぱり適当に撮っているのではいけないな。前のカットの情報を覚えておいて重ねるという面では財布を忘れて家を出るくらい忘れっぽい人間にはそれほど向いていないテクニックなのかもしれない。

 さて、まだ中判回やフィルムガチャ回が年末企画回として用意されているのだが、重要なところはこれだ。


 フィルムさんぽ冬の忘年会。

 前回夏の納涼会に参加させて頂いたが、忘年会もまたお酒を持参して参戦予定である。
 ちょっとした悪巧みも計画しているので興味がある人は参加してみても面白いかもしれないぞ。




 kaz





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