見出し画像

【勉強しろと人は言うけれど】#4 面接官の憂鬱

連載4回目は採用面接について。毎年新卒の採用面接官をしている中で採用面接で感じたことを書いていきます。面接をすると自分も毎回学びをもらえるので楽しみにしています。あ、内定をもらうノウハウではないのでこれを読んで不合格になったと思わないようにね。

〈今回の記事の音声版はこちらから〉


▶今就活の現場で行われていること

あまりこういうことは言いたくは無いけれど、今の就職活動は結婚相談所とほとんど同じ。
・リクルートが学生向けに就活マニュアルを作成する
・リクルートが企業向けに適性検査を提供する
だから、学生の服装も髪型も企業からの質問も評価される学生もほとんど同じ、コミュニケーション力があってチャレンジ精神があってリーダーシップがある人材が求めている。でも、これってマニュアルがあるからそれに沿って演出されているだけだから入社したあとにボロが出てきてアンマッチになってしまう。そうすると「なんであんなやつを採用したんだ!」と人事がボロクソに叩かれるという光景が毎年夏の恒例行事になっている。そうすると、企業も従業員も不幸になって誰も得しないんだよね。そんなことが毎年の就活の現場で起きている。これはものすごく損失に繋がっていると思うんだ。
今、日本の採用もメンバーシップ雇用からジョブ型雇用への転換が始まっているけれど、すべてが変わるまではもうしばらくかかるからこの状況はしばらく続くと思うんだよね。ちなみに、ジョブ型雇用とメンバーシップ雇用の違いは下記の引用を見てください。興味なければ読み飛ばしOK.

ジョブ型雇用:“仕事に人をつける働き方”
求人の時点で職務内容や勤務地、給与などがジョブ・ディスクリプション(職務記述書)によって明確に定められており、労働者はその内容に自分の希望・スキルが合っていれば応募します。ジョブ・ディスクリプションが更新されない限り、配置転換や昇給、キャリアアップは生じません。

メンバーシップ型雇用:“人に仕事をつける働き方”
仕事内容や勤務地などを限定せず、候補者はポテンシャルや人柄を考慮に入れて採用されます。そのため、メンバーシップ型での採用は“就職”というより“就社”に近いといわれることも。昇給・スキルアップ・配置転換・勤務地の変更など勤務環境が大きく変わる制度となっている・可能性があるのが特徴です。日本企業の多くは終身雇用・年功序列とともにメンバーシップ型雇用を採用しつづけてきました。

https://data.wingarc.com/job-type-or-membership-type-21655

▶面接をしていて「またか・・・」と思うこと

①バイトリーダー or リーダー的ポジション
「バイトリーダーとして店舗の経営に参加して、売上が伸びないのは従業員のコミュニケーションの悪さだと分析して「連絡ノート」を作ることで問題点を共有し改善を行いました。結果店舗の業績改善に寄与しました!」
従業員連絡帳を作るだけで業績が改善するってほんとか?これで業績がUPするのならマーケティングなんて必要ないよね。

②サークルの代表 or 代表的なポジション
「試合に勝てないのはメンバーの連携が悪いという問題点があったため、メンバーでコミュニケーションを良くするため話し合いの機会を作ることで連携がよくなり、目標だった○○大会に出場することができました!」
うん、すごいね。話し合うだけでチーム力がアップするんだね。。。すごい。

①も②も本当によく聞く話で10人面接すれば5人は同じような事を言ってくるんだよね。もちろんこれだけで不合格にすることは無いけれど、これを言う人って深掘していくとロジックが破綻したり答えが詰まったりする人が多い。面接マニュアルみたいなものを参考にてしているだけだから、こっちから聞くことがなくなって時間を持て余すこともしばしば。。。

その他にも、「みんなの意見をよく聞いて問題解決につなげるようにしています」パターンも多い。岸田総理みたいに本当に聞いているだけの状態。あと、職種別採用だって言っているのに、強みが性格面だけの人、、スキルはどうしたスキルは・・

▶面接官は何を見ているのか


こんな状態で面接官はどこを評価しているのかというと、ひとつひとつのエピソードの内容ではなく、それをどれだけ本気でやってきたかという点。どんなに口下手でも熱意は伝わるし、口が上手でも上っ面の喋りは一瞬でバレる。だからこそ等身大の自分で話をして欲しい。何なら、小学生・中学生時代の話を聞けばどんな人物なのか浮かび上がってくる。深掘して聞いているのはそのエピソードの中に、ヒカリモノを探したいからなんです。とはいえ、これを引き出せるかどうかが面接官の腕の見せどころなんですけどね。面接官は学生を単純に評価するのではなく、良いところを引き出した上で評価するものだと思っています。

ちなみに、私は面接で「学生時代に力を入れてきたことを教えて下さい(ガクチカ)」とは聞かない。だってESに書いてあるから。書いてあることを読まれても面白くないし時間の無駄だし、気になるワードをピックアップして質問からスタートします。面接では①志望動機②強み・弱み③ガクチカ④面接官への質問とコーナーを区切って聞くのではなく、持ち時間をシームレスに学生とコミュニケーションを取ることで学生の緊張もほぐれてよりきっちりとした評価を下せると思っているんですよ。

今週は半分ぐらい私のグチになってしまいましたが、面接官が普段リアルで考えていることはこんな感じ。少しでも就活生と企業のマッチングがうまくいくことを祈ります。

▶おすすめ書籍

劣化するオッサン社会の処方箋 なぜ一流は三流に牛耳られるのか/山口 周
オッサンとは年齢を指し示すのではなく、ある種の行動様式・思考様式を持った「特定の人物像」として定義される。
1:古い価値観に凝り固まり、新しい価値観を拒否する
2:過去の成功体験に執着し、既得権益を手放さない
3:階層序列の意識が強く、目上の者に媚び、目下の者を軽く見る
4:よそ者や異質なものに不寛容で、排他的
など、成長が止まった人のことを言う。
こうならないためのヒントがたくさん入っている。結局、人は学び続けることが必要であり、リベラルアーツを学ぶ事でオッサンになることを防げると思う。

podcast版もおすすめ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?