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「サイレント・トーキョー」をみた(ネタバレあり)

クリスマスイブの日に、取材にテレビの取材に出かけた二人のニュースクルーが、モールの広場に座ってる女性に声をかけられた。彼女が座っているベンチに座らされたクルーの一人は、そのベンチには荷重が軽くなると起爆する爆弾が仕掛けられているという。彼女は誰かに脅されて爆弾のことを中継しろと言われているという。その後、犯人は街頭の巨大スクリーンに、総理大臣との直接会談を要求する。要求に応じないと爆弾を爆発させると言う。

本格的なサスペンス映画

本編は、主に石田ゆりこと中村倫也そして佐藤浩市、広瀬アリスなどの行動を追う形でストーリーが進む。こういった映画で重要なのは、誰がキーキャラクターなのかを分からせないために、配役もバランスよく行う必要があると言うことだが、この映画ではこのあたりにも気を遣っているのか、誰が犯人でも納得ができる配役になっているところにこだわりを感じた。

特徴的なのは、話の中で、それぞれのキャラクターについての詳しい説明がなされないので、それぞれの人物がどういう人間なのかを考えながら見ていく必要がある。

さらには、刑事は出てくるのだが、彼らが中心となって謎を解明していくという建て付けになっていないため、見ている人はストーリーの中で自然に明かされる事実からしか謎がわからない形になっている。これは、あまり今までなかった手法ではないかと感じた。

例えば、序盤は各キャラクターの情報があまり少ないため、中村倫也が自然に怪しく感じられ、それを補強するかのように、刑事たちの追及も彼に向いていくことになる。

ただ、話が進んでいくとある出来事を通じて、彼はそれほど怪しくないのではなという気持ちが出てくる。こうして常に一部情報が隠された状態で話が進んでいくことで、非常にいいタイミングでクライマックスに繋いでいてくことができているように感じた。

実際は、サスペンスをよく見ている人だとストーリーの序盤で犯人の目星はつくだろう。そうだとしても、どういう形で見ている人に対して、犯人を提示するのか考えながらみるのも一つの見方だと思う。

一方で、犯人の動機であったり、仕込み方であったりについて説明が不足しすぎていて、多少リアリティが削がれる部分があった気がする。

劇中の渋谷の爆発シーンは、非常にリアリティがあった。また、爆破予告がされているにも関わらず、クリスマスだからと言う理由で予告場所に集まっていく群集なども、実際に起こったらそうなりそうに感じられた。

総じて、最初から最後までドキドキしながら、エンティングを予想しつつ見られる、楽しめる映画だった。


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