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「ザ・バンカー」を見た(ネタバレあり)

アフリカ系アメリカ人たちにビジネスチャンスを提供するため奮闘した二人の起業家の物語


まえおき

この物語は、1960年代にまだまだアメリカで人種差別が激しかった時代に、アンソニー・マッキー(Anthony Mackie)が演じるバーナード・ギャレットがサミュエル・L・ジャクソン(Samuel Leroy Jackson)が演じるジョー・モリスと組と共に不動産ビジネスから始め、最終的には銀行の買収を行うという実話をベースにした話である。

ギャレットは、アフリカ系アメリカ人が住むエリアに近い白人が住むエリアにある不動産を手に入れられれば、高級な住宅をリーズナブルな値段でアフリカ系アメリカン人たちに販売できるのではと考え、不動産を購入しようとするが、銀行からの融資が思うように受けられない。そこで、白人の不動産屋と組んでビジネスを始める。

住宅地からスタートし、最終的には中心街の銀行がテナントとして多く入居するオフィスビルの買収に成功したギャレットとモリスだったが、ギャレットは自分の出身地であるテキサスにある銀行の買収を検討とする。


サミュエル・L・ジャクソンが厚みを加える

主演のアンソニー・マッキーは、頭のいいキレて自分の信念に正直な反面、融通が効かないというビジネスパーソンをうまく演じていた。顔も整っているし、シャープな感じなのでとても好感が持てる俳優さんだ。反面、サミュエル・L・ジャクソンは、年長で修羅場を潜り抜けてきたビジネスパーソンであるギャレット役をうまく演じていると感じた。彼ほど強面と優しさを織り交ぜて演技ができる俳優はなかなかいないのでは無いだろうか。彼が出ているだけでスクリーンに安定感が出るし、いつまでも出続けてほしい俳優だ。

本当に彼らがそいったイメージだったのかは分からないが、物語の上では上手にキャラクターが作られていたと思う。

淡々と流した感が否めなかった

物語は、特に人種差別が色濃く残っていたアメリカで、アフリカ系アメリカ人が苦労をしながら新しくビジネスを立ち上げていったものの、結果的に潰されてしまったという流れを映画いているのだが、ビジネスの立ち上げ時期から裁判までのシーンを盛り込んだためか、ところどころ表現が粗い感じがしてしまった。

特に、銀行買収後にさらに新しい銀行を買収することになるのだが、これまでかなり慎重にビジネス判断をしてきたにもかかわらず、あっさりと買収に走ってしまう。ここは、もっと何か買収に踏み切る決定的な理由が表現されていたほしいと感じた。

また、裁判の部分も何か特別に丁寧に描いていたわけではく、比較的淡々とギャレットが自分の述べたいことを裁判で述べるという描き方になっていたところにも物足りなさを感じてしまった。

主人公が故郷への想いを捨てきれずに、ビジネスパートナーたちを巻き込んでしまったということを描きたかっただけではないはずなのだが、自分の中では消化不良感が残った。


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