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自分が変わることでしか、伝えられない想いがある

小さい頃、へとへとになるまで遊んだ後、家のドアを空けて大きな声で「ただいま!」と叫ぶ。

玄関を開けると晩ごはんのいい匂いがしていて、奥から「おかえり」と声がする。

毎日を慌ただしく過ごしていると、そんな昔の他愛のない瞬間がとても愛しく思える。

大好きな場所に、「ただいま」を

沖縄、奄美大島、アラスカ、ハワイ、メルボルン。いつでも帰りたい大好きな場所があります。

誰かの期待に応えるわけでもなく、ただ存在するために存在している自然。期待に応えなくては自分を保てなかった時期、強烈に心を惹かれました。

今でも忙しい日々の中で、何か大切なものを置いてきてしまったように感じたり、ふと虚無を感じたりするときがあります。

そんなときは、大好きな場所をふらりと訪れて、やさしく受け止めてもらって、置き去りにしてしまった自分の心が追いついてくるのを待つようにしています。

大好きな場所に着いたとき、小さな声で「ただいま」と言うと「おかえり、よく帰ってきたね」と言ってもらえる気がして。音としては聞こえはしないけど、なんとなくそう思えます。

思わず「ただいま」と言ってしまうくらい愛着のある場所を持てるだけで、「ここに戻ってくれば大丈夫かもしれない」という、人生に対する心理的安全を少しだけ確保できるような気がしています。

大切な人と、たくさんの時間を

きみのバラをかけがえのないものにしたのは、きみが、バラのために費やした時間だったんだ。

星の王子さま|サン=テグジュペリ

いつ、どんな困難が訪れるかわからない。そして、どんな困難が訪れても人生は続いていく。

自分が一番苦しかった時期を乗り越えられたのは、間違いなく、周りの人に支えられたからで。誰にも頼ることができなかったら、どうなっていたか正直わかりません。

逆も同じで、普段仲良くしている友人にも、いつ困難が訪れるかわからない。万が一困難が訪れたときには、どんな事情があっても真っ先に駆けつけたい。

「大切なものを大切にする決意があるか」
「そのためにどんな行動をするのか」
「どのくらい時間を費やすのか」

強い意思と信念を持ってたくさんの時間をともにすることで、いま大切に思っている人は、より自分にとってかけがえのない存在になっていくような気がします。

どこかにいるかもしれない運命の人を探すよりも、自分の身の回りの人を大切にしたい。

美しさや想いを、自分が変わることで伝えていく

ある夜アラスカの氷河の上で、友人と今にも降ってきそうな星の下で話をしている。

「いつか、ある人にこんなことを聞かれたことがあるんだ。例えば、こんな星空や泣けてくるような夕陽を一人で見ていたとするだろう。もし愛する人がいたら、その美しさやその時の気持ちをどんなふうに伝えるか?って」

「写真を撮るか、もし絵が上手かったらキャンパスに描いて見せるか、いややっぱり言葉で伝えたらいいのかな。」

旅をする木|星野道夫

いままで訪れた場所や関わってくれた人との日々は、確実に自分の中に息づいていて。それは自分の中で何かの小さな種を残して、ゆっくりと時間をかけて芽を出していく。

美しいものや感動したことを伝えようと思っても、表現できないことがあります。

できるかぎり伝えようと言葉を選んだり、気持ちを込めて伝えてみたり。けどやっぱり表現できない。

あるいはお世話になった人への感謝やお礼を伝えようと思っても「ありがとう」では表現しきれないときがあります。

「その人はこう言ったんだ。自分が変わってゆくことだって・・・・ その夕陽を見て、感動して、自分が変わってゆくことだと思うって」

旅をする木|星野道夫

そんなとき、自分にできることは、自分が変わっていくことくらいで。具体的に行動を変えて、考えや価値観を変化させていくこと。

変わっていく自分の姿で、自分が体験したことの感動が伝わるかもしれない。礼を尽くした行動すれば、感謝の気持ちがゆっくりと伝わっていくかもしれない。

どんなに小さなことでもいい。どんなに些細なことでもいい。少しずつ、少しずつ、なにかを変化させていくことで、自分の想いを伝えていたきい。

そんなことを小さく決意した金曜日の夜。

TOP画像は、奄美大島の倉崎海岸。毎年行くほど好き。

2枚目は、沖縄・波照間島のニシ浜。青のグラデーションが本当に美しい。

3枚目は、新宿御苑での前職のカメラ部にお邪魔したときの一枚。銀杏の紅葉が綺麗だった。

4枚目は、アラスカ・フェアバンクスで見たオーロラ。言葉でも写真でもほんの一部しか魅力を伝えられない。ぜひ一度は見てほしい。


最後まで読んでいただきありがとうございます。