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はじめてのオンライン授業

大学院で精神医学を教えています。

って書いたら、すんごい偉い先生みたいな感じしますけど、その辺にいるふつうの臨床医です。

そんなふつうのひとが、なんでそんな偉いひとがするべきお仕事を引き受けたのか。

「恩返し」。それ以上でもそれ以下でもありません。

これまで多くのひとが私を育ててくれました。まあひどい若者でしたのに、ここまで「更生」したのはたくさんの恩人のおかげです。

なかでも、とある臨床心理士の先生には、ぺしゃんとつぶれてしまうくらい衝撃的な言葉をいただきました。

「治っても、治らなくてもいい。」

河合隼雄先生の薫陶を受けたその先生の言葉を、ずっと考えつづけて、ここ数年ようやくその真意がわかってきたように感じています。

先生、ありがとうございます。

そして、その先生の大学で非常勤としてお世話になって早6年目。心理職を目指す院生の皆さんに、とにもかくにも精神医学を好きになってもらえるよう、トライ&エラーをくりかえしてきました。

で、オンライン授業。思ったよりも近くに感じられて悪くはありませんでした。思ってたよりも。

伝わってるかどうか自信はないですが、楽しくお話しさせていただきました。学生さんのおかげです。ありがとうございました。また来週ね。

治っても。治らなくてもいい。

それは「自由であること」を保証すること。それが私たちの仕事なのだろう。

感染症パンデミックは自由を奪う。身体的な自由も精神的な自由も。しかも、感染した人のみならず感染してない人まで。

でも、ほんとうにすべて奪われてしまうのだろうか。

フランクル先生は「奪われることはない」と断言する。私はフランクル先生を信じる。

身体的な不自由さの中で、精神の自由は確保する。誰もしてくれない?それは自分自身で確保しようとすること。しつづけること。そのために精神医学や心理学の先達者の教えに耳を傾けよう。恐怖に、自分の自由を、受け渡してしまわないように。

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