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デザインシップチャレンジを振り返って ~ "ディレクター"として学んだ3つのこと


Designshipのすべての動画アーカイブを視聴し終えました。
最前線で働いているデザイナーの方々が、組織として何を考えているかのトレンドを垣間見ることができ、大変学びが多かったです。

僕は昨年からUI/UXデザイナーを志しているのですが、アイルランドに正規留学をしているため2019年は参加できず、登壇された方のスライドをTwitterでずっと追っていたのを覚えています。ご配慮がとても嬉しい反面、物理的な距離や時差をもどかしく感じていたのも正直なところです。

今年は幸か不幸か、Designshipがオンライン開催とのことで、僕のいるアイルランドでもイベントに参加できるため、チケットが販売された直後にチケットを購入し、半年近く楽しみにしていました。

世界から配信されたデザイナーの方々も印象深かったですが、柔軟に対応してくださったスタッフ・運営の方々に感謝申し上げます。


デザインシップチャレンジについて

10月下旬から1週間、Designship Challengeというデザインコンペが開催されました。

結果から先に申し上げると、「Fjord賞」をいただくことができました。
たくさんの素敵な作品がたくさんあがった中で嬉しい限りです。
(実はFjord Dublinは僕の大学から遠くなく、土日の散歩コースにあるため受賞後にすぐ足を運んでみました。目の前には川が広がっていてお気に入りの場所です。)

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今回はチーム呼びかけ人として”ディレクター”のような立場でチームに携わったのですが、4人で力を合わせたから出来たことだと切に感じています。
デザインシップチャレンジ公示後から作品完成までの1週間の学びや軌跡を、少しご紹介できればと思います。

<作品詳細>


1. キックオフ前に「チームでの目標」を明確にすること


まずデザインシップチャレンジ公示後すぐに、Twitterで一緒に取り組んでくださる方を募集しました。
1年半ほどデザインの独学を続けてきたのですが、得意苦手が見え始め、チームでのモノづくりを通して「1人では作れないものを作ってみたい」と考えていたのが大きいです。名乗り出てくださった方々から3人選ばせていただき、1番苦手なビジュアル制作を克服したい思いから、新規ホテルのVIに取り組む決意をしました。

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これは僕の反省なのですが、ガントチャートやアジェンダをキックオフ前に共有すべきだったと思います。
コンセプトメイキングを前日までに2回の大きな修正が必要で、ビジュアル制作に1日しか割くことが出来ませんでした。

1度目は『課題抽出→リサーチ→仮説→ビジュアル』のようなUI/UX的なボトムアップフローでなく、『コンセプト→ビジュアル→理由付け』のトップダウンフローで進めようとしたが故に、「誰がなぜ、いつどのような場面で」の"ペルソナ迷走状態"に陥りました。

2度目はコンセプト決定後、イメージを膨らませる段階でコンセプトから若干逸脱してしまい、「このロゴで本当に意図が伝わるのだろうか」が不鮮明になっていました。

やり直しは工数的にもチームメンバーにもシワ寄せが来るので、最終目標とアジェンダ、出来ればマイルストーンまで事前共有すべきだと思いました。


2. 物理的なミーティングと同量の密なコミュニケーション


1週間、毎日1~3時間ほど、4人のスキマ時間を縫ってZoomミーティングを重ねました。

僕と日本チームは8時間の時差があるため、日本時間の0時を回ることもしばしば、チームの方々への心身の負担も大きかったと思います...
ですが毎日進捗報告やアイデア共有を重ねることで、オンラインミーティングでも、対面で話しているときと変わらず「今何を考えているか」をお互いが理解できました。特にホウ・レン・ソウを徹底して行ったのが功を奏したと思います。

ミーティング外で個人作業をするときは、Miro・Figmaを活用。ヴィジュアル・アイデンティティの制作は非言語依存の要素が多かったので、文字で伝えられない色やカタチは画像を共有する場面もありました。

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3. 「いい衝突」を恐れず意見を交わす取り組み


チームだからこそだと思いますが、4者4様のバックグラウンドや思想があったので、アイデアの発散と収束を繰り返す中で、「誰のどのアイデアが1番よいデザインなのか」を忖度なしに決断するのは、時に骨が折れました。

チーム全員はもちろん、ユーザーに納得感のあるデザインをつくることが肝にあったので、“いかに発言の心理的安全性を高めるか”に注力していたのを覚えています。

いいと思ったことは真っ先に伝える、修正が必要なときは何故必要なのか・どう改善すればいいかを説明する。口に出しにくいときは、付箋やメッセージを活用するシーンもありました。

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僕は自分の意見を直接口にするのが得意ではないので、チームの3人が率先して本音でぶつかってくれたことが本当に助けになりました。


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実は提出期限の24時間前までは、まったく違う方向性のものが仕上がっていました。ですが、より良いものを作ることに妥協せず、夜通しで作品をカタチにする作業をしました。

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組み立てては壊すを繰り返した中で見出した「コンセプト」を揺るがさず、本当にニーズがあることを見極める。裏を返せば、VI制作において精力すべきなのはコンセプトだと感じた瞬間です。提出後、自分でここまで「やり切った…!」と思えるデザインをしたのは初めての経験でした。


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最後になりますが、僕個人がデザインに取り組む際に、作品の大小やポジションに関わらず、いつも胸に刻んでいるモットーが「プロ意識を持つ」ことです。

僕は身分上はまだ大学生です。「デザイン」で金銭の介在する対価を得たことや肩書きはなく、”アマチュア”に間違いありません。ですが、誰かの目につくもの・誰かの手に届くものを作る際には「自分が未経験だから」というスタンスは絶対に捨てるようにしています。これは僕にデザインを教えてくれたインターン先のデザイナーの方からの言葉で、今でも大切に胸にしまっています。

世にリリースされるものを制作したわけではありませんでしたが、届けたいユーザーに真摯に向き合い、価値を粘り強く追求する大切さを学びました。そして僕がチャレンジしてきた作品で、最も多い方に見てもらえる機会になると意識したのも事実です。

VI制作もチーム制作も"個人では未経験"でしたが、チームでお互いの不足を補い、切磋琢磨すること。そして「誰かに最高のデザインを届ける」にこだわった1週間でした。
そしてこの作品は賞に関わらず、デザイナーとして生きていこうという僕の背中を押してくれる大きな一歩になったことに間違いありません。同時にまだまだf視座を上げて鍛錬し続けなければならないとも痛感しました。

これからもデザインと真摯に向き合いたいと思います。

Kaz(@kz_asahi)


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