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屍者の帝国 伊藤計劃 円城塔著

19世紀末のロンドンで死体を蘇生する技術が完成したことにより自らの意思を持ち合わせない指示通りに動く屍者(ししゃ)というものが創られる。
まず屍者は開発されると、人間がかつて行っていた重労働に従事する。当然彼らは給料を求めることも無いし、休むことも無い。それから屍者は様々な労働へ投入され、遂には生きている人間よりも屍者の方が多くなってしまった。

そして人々はその光景を見てイギリスを屍者の帝国と呼んだ。
感が良い方なら気付いているかもしれない。この小説の時代背景はAIが発達し、AIによって仕事を奪われる現代にそっくりなのだ。

この過去の時代背景にも関わらずSFの設定だけでも十分面白いのだが、伊藤計劃の読む度にうっとりとしていまう文章がこの作品でも遺憾無く描かれている。
SFはあまり好きな部類ではないが、伊藤計劃の作品はかなり面白い。

SFを見たことない、あまり好きでない方に是非、おすすめの作品です。

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