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〜序章〜「オンライン恋愛 inコロナ」男性目線


雨が降るとある日

ぽちっと押したパソコン画面も
重たかったのだろうか、なかなか立ち上がらない


画面が薄暗くゆっくりと明るくなりながらデスクトップがひらかれた。

「あー整理しないとな」


今まで仕事ばかりで、デスクワークばかり。
家に引きこもりっきりのリモートワークで、たくさんの資料作り、データ収集などで散らかったデスクトップを見ながら、ふと周りを見渡す


「自分の部屋みたいだな笑」


ずっと家にいる分、掃除などの時間は会ったはずだが、部屋は汚いというより散らかっている。
なぜか無気力というか、心が高揚しない感覚をもう何週間過ごしているんだろう。

パソコンがひらかれるといなや、
すぐにZOOMをひらき、指定された部屋に入り
待機をした。

今までの生活とがらっと変わり、
なぜか昔の自分に戻ったかのような感覚に陥り、

いつしか電気代節約とかではなく、
あまり部屋の明かりをつけないようなパターンになってきてしまった。

「唯一の光は、このパソコンの光か」

ふと心に思いながらも少しだけワクワクしている
自分もいる。


「オンライン恋愛 ONLEN」

思わずなんだこの詐欺まがいのサービスは


と思ったが、思わず登録画面にいき

ふと登録している自分がいた

************************

俺、速水優希。

25歳のサラリーマン兼ライター

普段はサラリーマンとして営業マン、健康器具やストレッチ器具、ダイエット食品などを売る営業マンをしながらも、
自分自身が食事が好きで、食べ歩きをしたレストランや飲食店などをとある飲食サービスの公認ライターとして活動をしている。

元々名前とは真逆の性格で、
ほどほどに友達はいたし、ほどほどに恋愛をしてきたが、どれも上っ面な自分がいた

そんな自分が営業マンになるとは思わなかったが、
演じることは上手くなっていた。

友達からも優希ならできるよー!
とか上っ面な事しか言わない

自分自身なるべく人と関わりたくない。
とりあえず平凡と過ごしていればいいやと。

そんな感じでたまたま居酒屋で出会った
ライターのおっちゃんが

「お、君もやってみるか?!」

とたまたま声をかけられたのが
このサービスの公認ライターの話だった。


「あ、はい。やってみます」

と言ったものの果たして顔は笑っていたのか。

それでもおっちゃんはよしよしとニヤニヤしながら、連絡先を交換し、後日サービスの担当者から連絡が来て、2〜3日に1回、3〜4記事程度あげている。


特に規定や縛りなどないのでー!

とかなり緩い感じの担当者で、こんなもんでいいのか?と思いつつ、気が楽になったのも事実だった。


そんなとある日


ニュースでやたらウイルスがなんちゃらなどの話があったのはなんとなく見ていたが、

そのニュースもどんどん過激を増していき、

ついにはロックダウン?!コロナショック?!
など叫ばれ始めるようになった時に

会社から


「在宅勤務で!」


との指示があり、今こういう生活になって早3週間が立つ。


最初は、

「へー、家でいいんだ」



正直満員電車も嫌いだったし、
毎回上司や同僚など別に嫌いではないが、
わざわざ挨拶したり、声をかけられたりなども
正直あまり心地いいわけではなかった。


そんな思っていたら家で仕事、在宅勤務
リモートワークなどいろんな呼ばれ方があったが、
まぁどうでもいい。


「やったー!わざわざ電車乗らなくていいじゃん!」

とか

「朝、1時間ゆっくりねれるわー」

とか
いろんなことを会社のメンバーは言っていたが、

まぁそこまで歓喜するというか、
別に正直場所が変わるだけで、自分にとっては
人と関わらなくていいという点だけは喜ばしいが、別にそこまでじゃない。

顧客リストなどは持ち帰るな
とか
わざわざデータ化しないといけない仕事なども増えてしまい、正直意味のないと思えてしまう仕事が増えただけだった。


「おい、優希最近どうしてるんだよー」


と連絡が来たのは、自宅待機になってから3日も経たないうちにどうでもいいLINEを送って来たのは

同期の石田だった。


石田は、俺と違い、いわゆる陽キャって奴らしい。

誰にでも距離が近く、誰にでも絡む。

道端に歩いている変な帽子の人に気軽に質問をしてしまい、毎回共同営業の場合一緒に歩きたくはない。

だが、逆だからよかったのか、なんだかんだで嫌いではなく、あっちがいろいろ絡んでくるからいちおう話す程度だと思っていたが、

3日もしないうちに石田のことだから、誰振り構わず連絡をしているんだろうと思ってLINEをひらいた。


「どうしたもこうしたも、3日も家にいるだけなんだから特になんもねーよ」


「まじそれー!家にずっと家にいるとかまじ耐えられねーよ。しかも3日もだぜ?3日?!俺人生初だね。初。ウルトラマン並にもうピコンピコンしてるよ笑」


としょうもない例え話を急にぶち込んでくるのがこの石田。ウルトラマンとかけているが、たかが3という数字しか共通点はない。

などとは直接的には言わない。

「いやーまじでさー、仕事以外やることなさすぎて俺もう会社の特典つかっていろいろトレーニング器具とか買っちゃってよー笑 明日届くからもうワクワクだぜー」

多分だが石田はLINEでも直接でも、電話でもそうだが、一方的に喋る。
俺はそれを直接ならふーんといちお目を見て話す。がただ、聞いているだけ。
特に返答などはしないし、思ったことがあっても心の中で終わらせる。

まぁ、多分だから石田は俺なんかみたいなやつともつるむんだろうなと思う。

「どうなん?優希は?最近何してるんだよー」

会話に困るとすぐに曖昧なオープンクエスチョンをかましてくる。

しかもそれはちょっと前に話した内容とかぶろうもんでもお構いなく聞いてくる。

だから決まって俺は

「まぁ、おとなしくしてるよ」

といつもの決まり文句。

「おとなしいのはいつもじゃんかよー笑
なんかこれ買ったー!とかこれやったー!とか、そういう話ねーのー?笑」

直接だとだいたいここで
トイレや喫煙所行ってくるなど嘘をついてその場をやり過ごすが、
LINEの場合は、既読スルーしておくと
スタ爆で通知がうざくなる。

だから結局何かしら答えて終わらせようとする。


「おー、キャベツが安かったからキャベツ買ったよ:


「いやいや、主婦か!!それともダイエット中か!!!!笑 お前本当に自宅待機で、本当にずっと待機しているんだろーなー」


お前よか仕事はずっとしているよとまた心の中だけで留めておきながらも

「まぁ、そうだな」

と軽く受け流してスマートフォンをほっぽり投げた。


最近買った人をダメにするクッションに飛び乗り、
伸びをしてふと天井を見つめる。

「あいつ元気かなー」

なぜか人と関わった後に
ふと思い出してしまうあいつ。


俺にとってなぜかふと思い出してしまう唯一の人。

もうあれから3年経つのかと思うと


なんだかんだで社会人生活、サラリーマン生活は早かった。


と、時間の経過の早さを考えながら

ピンポーンと音がなる。


「あ、すいませんウーバー○ーツでーす」


「あ、はい」

最近食べ歩きができない今だからこそ、
もうずっとデリバリー。

そして様々なレストランがデリバリーしてくれているから助かる。

「お待たせしましたー。あ!」


配達員と目が合い、マスク越しに目を輝かせている。


「やっぱり。昨日も僕でしたね笑 いつもありがとうございます」


「。。。どうも」


なぜか俺の周りはやたら距離が近いやつを引き寄せている気がする。


「じゃあ、これ置いておきますねー」


今回頼んだのは、A市で隠れ家的な和食居酒屋の
人気店で、一人でも行きやすいカウンター席があり、目の前にスタッフなどがいないため、食事に集中できる空間的に気に入っている店が、デリバリーを始めたことを限定で公開しているtwitter情報で知り、即座に注文した。


甘じょっぱい鶏肉の竜田揚げ
薄くスライスしながらも計算された厚さで5、6枚も重なる霜降り牛肉
三元豚のローストンカツ
と3種類の肉が一同に会したデリバリーオリジナルメニュー


これとビールの相性は抜群だ。


もちろんこの後にライティングするために、
写真を撮ったり、角度を決めたり、テーブルにいい感じで並べ始める。

「何やってんだ俺」


とたまに家で一人でこうやって並べている時にふと感じる。

と同時になぜかあの居酒屋で出会った
紹介してくれたおっちゃんの顔が眼に浮かぶ。


あのニヤニヤした顔が今でも忘れない。

なぜ俺の顔を見てそんなにニヤニヤできたのかいまだに不思議でしょうがない。


「お前さん顔もいいのに、まぁ顔だしたほうがアクセス数伸びそうだが、まぁそこは顔あえて伏せていろいろ記事書いてみろよ!俺の記事も是非参考にしてな!」

となぜこういう世代のおっちゃんは「がはは」と笑うのか不思議に思いながら
記事を見てみると、なぜこんな記事が人気なんだと思うくらい

ただ飲み歩いて、自分の顔はバンバンだしているふざけた写真と記事ばかり。

世の中どうなっているんだと思うが、

ちょこちょこ書いているおつまみの品評の記事がなぜか的を得ているような、妙に説得力がある記事。

なんだ、ギャップなのか?
と考えがつつも、自分の記事は特に何も考えずに思ったことを書こうと決めていた。


食べ終わってからパソコンを手に取り、開こうとするとまた石田からのLINEだった。


何件もあれから通知が来ている。

「。。。ったく」

とため息をつきながら最後に見えた通知メッセージの1行目の文章が見えた。


「優希に紹介したい、、、」

続きが気になったが一旦スルーして

記事の編集へと意識を変えた。



***********************************************第2章へ続く


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