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開幕10試合消化。マリノスの誤算と収穫

「悪くはない」スタート

ACLの関係で前倒し日程となっているマリノスは開幕から10試合を消化。5勝2敗3分、得失点差+6の勝ち点18で暫定2位というスタートとなりました。

これが良いか悪いかで言うと「悪くはない」という評価でしょうか。理想は1試合平均勝ち点2なので、昨年同様10試合消化で勝ち点20はほしかったところ。実際、セットプレーだけで2失点したセレッソ戦、退場者を二人出したレイソル戦、豪雨でピッチが田んぼとなりサッカーにならなかった鳥栖戦は、いずれも勝ち点3を取れた試合。川崎、鹿島、東京と実力のあるチームから勝ち点3を奪っていながら、勝ち点20に届いていないのは、もったいなすぎる結果です。

しかし、今年はワールドカップとACLの関係で昨年よりもかなりハードな日程です。ケガ人やコロナの影響もあって、ベストな状態で戦えていないことを思えば、「悪くはない」となるのです。

最大の収穫はルーキーCB

そのなかで、誤算はケガ&コロナと、開幕直前に獲得したエドゥアルドのフィットに時間がかかっていること。そしてエースとして得点王争いも期待していたレオ・セアラにゴールが生まれていないこと。ケガやコロナは仕方ないとして、エドゥアルドとレオはタイトルを狙っていくうえで、一層の奮起が必要です。レオは起点やアシストで得点には関与しており、動きは決して悪くないので、昨夏のようにちょっとしたきっかけでゴールラッシュが生まれるのでは?と期待しています。

厳しいのはエドゥアルドのほうです。ビルドアップやプレス回避にGKやSB、ボランチとも連係が不可欠なポジションであり、少し時間がかかりそうです。また、マリノスのパス回しにフィットしきれていない様子で、パススピードや判断が一人だけダントツで遅く、相手のターゲットにされやすい。実際、敗れた2試合はいずれもエドゥアルドの先発試合。彼一人の問題ではありませんが、現状はCBの五番手であり、チアゴに代わる助っ人としては、物足りない出来と言わざるをえません。しかし、対人や空中戦の強さ、ロングフィードやフリーキックなど、一つひとつの能力は高い選手なので、きっと戦力になってくれると信じています。

一方、嬉しい誤算というか、収穫はルーキー角田凉太朗の躍進です。開幕当初は控えでしたが、CBにケガ人や出場停止が相次ぎスタメンのチャンスを得ると、出色の出来で一気にファーストチョイスの座をつかみました。左利きで足元の技術が高く、空中戦も強い。スピードもあるので、彼が入ることでディフェンスラインの安定感と後方からの攻撃にも厚みが増します。

まだまだ成長途上であり、判断ミスやイージーミスが出ることはありますが、ワールドカップ以後の日本代表のレギュラーも狙える選手でしょう。果敢にドリブルでオーバーラップしていく姿に、彼の高校の先輩であり、ミスターマリノス松田直樹を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

他にも西村拓真、アンデルソン・ロペスが早々にフィットして得点を重ねているのは頼もしい限り。ボランチの藤田譲瑠チマ、山根陸のパリ世代コンビも十分な力を示しており、選手層はグッと厚くなった印象があります。

前田大然、チアゴ・マルチンスという攻守の柱が抜けても、戦い方やチーム力を維持できるのは、フロント、編成の力も大きいと思います。行き当たりばったりの補強を繰り返していた昔のマリノスでは考えられない進化です。

また、マスカット監督はボスと比べるとカリスマ性では劣るものの、修正力やマネジメント力には目を見張るものがあります。攻守100-0だったボスの時代より攻撃の迫力は落ちたとはいえ、攻撃全フリだったチームにうまくバランスを植えつけ、誰が出てもある程度のレベルで戦えるチームに進化させてきました。誰か特定の選手に依存するのではなく、チーム全員が戦力。リーグもACLも狙うなら、そうでなければいけません。

いよいよ週末からACLが始まります。中2日の超過密日程に加え、J4チームの中で一番苦しいグループになっていますが、外国人枠のローテーションも含め、マスカット監督なら、うまくチームを導いてくれるでしょう。

シーズンはここからが本番。ベトナムでトリコロールの戦士たちの躍動を期待しております!

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