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アスリートが報われてほしいと思うのはそんなに悪いことですか?

週刊プロレス編集長からスポーツジャーナリストに転身してからは、ありとあらゆる競技のトップアスリートの取材をしてきました。東京2020オリンピック・パラリンピックの内定選手と有力選手も40人超インタビューしています。大量なので漏れがあるかもしれませんが、取材してきたアスリートのラインナップがこちら。

★オリンピック内定・有力選手(順不同/敬称略)
阿部一二三、阿部詩、芳田司(柔道)、乙黒拓斗、川井梨紗子(レスリング)、桃田賢斗(バドミントン)、石川祐希(バレーボール)、水谷隼、張本智和、石川佳純(卓球)、植草歩、清水希容(空手)、上田綺世(サッカー)、羽根田卓也(カヌー)楢崎智亜、野口啓代(クライミング)、森ひかる(トランポリン)、北島隆三(馬術)、鈴木セルヒオ、鈴木リカルド(テコンドー)、松山恭助、西藤俊哉、宮脇花綸(フェンシング)、吉田愛、吉岡美穂(セーリング)、梶原悠未(自転車競技)、田中希実、山縣亮太、多田修平(陸上競技)、寺内健、坂井丞(飛込み)、古江彩佳(ゴルフ)、入江陵介、池江璃花子、渡辺香生子(競泳)、清水美並(ホッケー)、荒川颯(3x3バスケ)、足立聖弥(水球)、皆川夏穂(新体操)、中井飛馬(BMX)
※野球選手はオリンピックテーマでの取材ではないので除く

★パラリンピック内定・有力選手(順不同/敬称略)
国枝慎吾、上地結衣(車いすテニス)、道下美里(ブラインドマラソン)、一ノ瀬メイ、東海林大(競泳)、金子和也(ゴールボール)、水田光夏(射撃)、川原凛(車いすバスケ)、西崎哲男(ウエイトリフティング)

錚々たるメダル有力選手ばかりで、いつも大変有意義な話を聞かせてもらっています。

しかし、肝心の東京オリンピック・パラリンピックは新型コロナウイルスの影響で一年延期され、現状では今夏の開催も微妙なところ。人々の安全な生活が最優先となるので、中止もやむなしだと思います。

………というのは建前で、個人的にはどんな形であれ、ここを目指してきたアスリートたちが輝ける場を用意できたらいいなというのが本音。オリンピック・パラリンピック開催に前向きな発言をしようものなら、「こんな時に何を言ってるんだ!」と騒ぎ出す人々が多く存在するのは理解しています。しかし、これまで血の滲むような努力を積み重ねてきたアスリートたちが報われてほしいと思うことはそんなに悪いことでしょうか? 

前向きで建設的な議論を


アスリートたちはみんな無事にオリンピック・パラリンピックが開催されて、そこで世界の強豪たちと思い切り競い合いたいと思っているはずです。その純粋な思いには、金儲け云々が入り込む余地はありません。それなのに今はオリンピックの「オ」の字を口にすることもはばかられる状態。これってどうなんですかね。選手たちは、一般の人の何倍も感染対策をして練習、試合に取り組んでいるし、一般の人ほど感染リスクのある場所に出向くような行為もしていません。ただ、自分が死ぬ気で取り組んできたことの成果を発揮したい。それを口にしようものなら叩きたがる人が溢れ出すって、この状況は異常です。

世の中には100パーセント完璧なものなんてないから、批判したり否定したりするのは簡単です。できない理由を探すことは誰でもできるので、安全に開催できる方法を議論する発想がもう少しあってもいいのかなと感じています。

もちろん、ビジネスありきで無策に海外からたくさん人を呼び込めと言ってるわけではありません。あくまでもアスリート目線に立って檜舞台を用意できないかということ。

極論を言えば、集中開催にこだわらず、各競技ごとに時期も場所もバラバラに開催して、今この時の世界一を決める舞台を用意してもいいのではないかと思っています。各競技の世界選手権が各地で開催される感覚で大会おこない、名前だけを「東京オリンピック・パラリンピック」で統一し、オリンピック・パラリンピックのチャンピオンを各競技で決めるという方法。なんとかして、選手がやってきた成果をぶつける舞台をつくってあげたいところです。

「そんなの東京オリンピックじゃない」「日本に経済的メリットがない」「それだったらやる意味がない」「浅はかな考えだ」……批判大好きピーポーの皆さん、そんなことはわかってますよ。東京開催が決まってから、もっといえば決まる前から人生のすべての時間を割いてきたアスリートになんとか報われてほしいから、いい方法がないかと考えているわけです。ノーと言うのは簡単だからわざわざ言わなくていいです。これぞという意見がある時だけ挙手してください。

私はオリンピックには出場していないので、大会に出場する選手と同じレベルで語ることはできません。ただ、オリンピックを目指すレベルの闘いや練習は経験してきたので、それがどれだけいろいろなモノを犠牲にする必要があるかは理解できています。そして上記のように実際に多くのアスリートの話を直接聞いてきたからこそ、世間の風潮に合わせて「止めろ、止めろ」とは言いたくないだけです。

批判大好きピーポーの皆さんも、その他の皆さんも、過去にオリンピック・パラリンピックを見て、感動し、素晴らしさを感じたことがある人は多いと思います。そんな素晴らしい大会が日本、東京の名の下に開催される。選手だけでなく、我々にとっても一生に一度あるかないかの出来事です。少しでも前向きな議論がしたいと思うのは悪ですか? 批判社会を明るくできる素晴らしいアスリートたちが輝く舞台が、少しでも良い方向に進んでほしいと思うしだいです。


おわり。

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