結婚十周年
結婚して、十年が過ぎた。あっという間だった。時間の流れは毎年毎年早くなる。昔、祖母や母や先生が言っていた通りだ。それを今では自ら実感できる。
煮ても焼いても食えない気質のジーンとの結婚。何で結婚したのかね?
全く話が通じなかったこと。喧嘩すらきちんとできなかった。理解不能でどうしようもなかったこと…。あげればキリがないほど課題が山済みだった。夜な夜なベランダから見えるお月さまに毒づいていたものだ。でも十年経てば、大変だったことももう過ぎたことだ。過ぎたこと…と言えるのは真剣勝負でぶつかりまくったからだと思う。
きっとジーンは鬱陶しかったと思うし、うざかったと思う。
私は意外と(?)負けん気が強いし辛抱強い。武器も知恵すら持たず、逆境に自ら飛び込んでいくようなおバカな気質があるようだ。頭が悪い。計算ができないから真っ向勝負で行くしか知らない昭和のヤンキーみたところがある。
そう言えば、仲村トオルが好きだったこともあるけど、大人しく可愛らしい顔して、『ビーバップハイスクール』とか『湘南暴走族』とか好んで見ていた。ひとりで映画を見に行く!という私を心配した祖母が一緒についてきてくれたが、いったいどんな気持ちで一緒に見てくれたのだろうか…?思い起こすと身震いするほど恥ずかしい。
当時はそういう類のモノが多かった気がする。そして、感情移入するのは、マドンナの『今日子』ではなく、『トオル』や『ヒロシ』の方だった。
今の私達夫婦は、何だか穏やか過ぎて困るくらいだ。時々、いや、しょっちゅうイラっとはするが、その時はもうすでに言葉に出ている。
「イラっとする!」
自分が溜め込んでいつの日か不意に爆発してしまう性質だと理解しているので、不足不満は極力こまめに、冗談交じりで120%吐き出すようにしている。そして、寝てしまえば引きずらない。
休みの日は二人で出かけることもあるが、基本的にそれぞれ思い思いのことをして過ごしていることが多いかもしれない。それが、逆に心地がいい。たぶん、二人とも一人時間が必要な生き物なのだ。同じ家にいて気配は感じているが干渉はしない。
もう、家族なのだ。
トキメキはないが、安心と信頼はある。どこかの会社のキャッチコピーみたいだ。
普通、平常、ありふれた毎日は、今この時には感じづらいが、実はとても幸せな時間であることを意識して感じとりたい。なぜなら、普通、平常、ありふれた毎日こそ、本当は難しいと思うから。
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