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【#61】手紙

母が親戚に連絡をした。

すると青森の実家のわたしのおじにあたる人が
急遽仕事を休んで東京に来てくれた。

わたしは感謝と申し訳なさでいっぱいだった。
保険や葬儀の手続きなど一緒にやってくれた。

司法解剖や葬儀前の死化粧など
葬儀を行うまでは少し時間があった。

棺に入れる父のお気に入りのものを選んだ。

ONE PIECEのゴーイングメリー号の
フィギュアや矢沢永吉のタオルなど。

わたしはどうしても入れたいものがあった。

それは手紙。
父の日に渡せなかった手紙だ。

渡そうとしたがまだ書いていなかったので
葬儀の前日から書き始めた。

内容はなにもまとまらず
謝罪、感謝、これからの自分、最近の話したかったこと、おすすめのアーティストなどを
箇条書きの様に書き殴った。

葬儀がはじまる直前まで
ありったけの想いを書いた。

便箋用紙12、3枚になったと思う。

葬儀がはじまった。
父の会社の人たちや学生時代からの友人
親戚が集まったこじんまりとした式。

厳かに行われた。

横には並べられた棺に入れるものたち。
参列者1人亡き父の周りに花を1輪ずつ置く。

最後にわたしが父に向けて書いた手紙を
1枚ずつ父の上に重ねた。

子供の様にわんわん泣いた。
悲しさもあったが
とにかくごめんなさいの気持ちが大きかった。

手紙にも何度も書いたと思う。

ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。

そう思いながら火葬場に向かった。

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