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【#67】憂い

父が亡くなって1週間。
通っていた専門学校を忌引きした。

授業や課題でとても忙しく
いろんな人に迷惑をかけたと思う。

すぐに仲のいい友人や課題仲間には
しばらく行けなくなる旨は伝えていたが
詳しくは話さなかった。

担任には父が亡くなったことだけ伝え
クラスメイトには
なるべく話さないようにとお願いした。

1週間後、学校に戻った。

友達やクラスメイトは
特に変わらず接してくれた。

でもなんとなく理解してたみたいだった。

課題の多すぎる学校で急に1週間休んだら
なんで来ないのかと先生が詰められても
仕方なかった。

ちょうど個人面談の季節だったと思う。
担任と生徒で現状や進路のことについて話す。

先生に事前に調べてもらったことがあった。
それは学費について。

前期と後期の2回支払いがあり
まだ後期の支払いの日が来ていなかった。
もし学費を払っていなければ
この先学校を続けることができない。

結果は父は事前に前後期まとめて払っていた。

ひと通り話し終えたあと
先生には話しておいたほうが思い
休んでいた期間何が起きたか話した。

先生は唖然としていたがこう言った。

必ず来ないといけない場合でも
どうしてもいけない時は言ってくれれば
大丈夫だから。

先生にとっての単なる優しさだと思う。
でもこうも捉えられた。

辛い思いをしたのだから
他の子とは違う扱いをしてあげよう。

他の先生方もその一件から
わたしへの対応が変わっていた。

これまでは特に気にかけてもくれなかったのに
異常なほど気にかけてくる。

大丈夫か。
元気でいるか。
なにかあったらいつでも言うんだよ。

さだまさしの案山子かってくらいに
今の状況を聞いてきた。

だからわたしは面談でこう答えた。

あくまでもわたしの家庭の事情であって
学校での活動には関係のないことです。
無理にでも時間を合わせて活動します。
なので他の人と同じように扱ってください。

これを言い訳にしたくなかった。
他の人も状況は違えど
辛いことがあっても頑張っている。

だから特別扱いなんてしてほしくなかった。
憂いの気持ちなんて持たれたくなかった。

あくまでも1人の学生なのだと。

今思えばこれほどに強がらないと
先へ進めなかったほど憔悴していたのだろう。

ここから卒業に向けて
全身全霊で進むことになる。

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