見出し画像

親子で霧ヶ峰 〜山ガイド田口さんと写真旅

山男かっこいいわぁ
山行ってみたいわぁ
でもどこから何を揃えたらいいのかも分からんし
一人で行く自信無いわぁ

と、ぶつぶつつぶやくこと数年

いつの間にか
元同僚の友人が、山岳ガイドの資格を取得し
PUTALI PEAKというサービス
立ち上げていました。


画像1

ガイドの田口さん

なんと!そういうことなら!
ぜひぜひ、初心者の私にも山を教えてください!

ということで、PUTALI PEAKの
「親子ディスカバリー山歩き」に
参加してみました!
草紅葉が美しい10月の霧ヶ峰を、
フィルム写真とともにレポートします。

■白樺湖散策で、山気分が盛り上がる

画像2

山岳ガイドさんの主なお仕事は、山の道案内など
ですが、今回は友人ということで、特別に
ドライブから同行してもらいました。

今回は3しゃいのお子さまもいるため
白樺湖で前泊します。
(※あくまでここはプライベートです)

諏訪で高速を下りて山麓を目指していくと・・・
目に入ってきた山並み。
「あれが八ヶ岳だよ」
下から見るこの雄大さ!
すでにワクワクが始まります。

画像3

白樺湖に着くと、夕方の湖畔を散策。

画像4

紅葉が素晴らしい

画像5

画像6

白樺に、紅葉に、水辺に。
ちょっと、ヨーロッパを思わせる高原の景色。
もうここに来ただけで十分満足な白樺湖ですが

今回はここで引き返しはしません!
メインディッシュは翌日の山の景色。
どんな光景に出会えるのか、楽しみです。

■3歳児との登山は、通常のコースタイム✖️4倍だった

ぐっすり眠っていよいよ本番!

本日のコースは、
車山肩から
ちょっとした山頂をいくつかクリアしつつ
ぐるっと湿原の景色を見ながら霧ヶ峰を一周する
穏やかな山歩きルート

初心者でも、親子でも歩きやすい楽しみやすい♫
と聞いていたので安心してのぞみました。

「ゆっくりでいいよ〜」
と声をかけてくれる田口さん。

しかし・・・

こ、こんなにゆっくりでいいの??
ほんとうに・・・??

画像7

抱っこぉぉぉぉぉ
すすまない3歳児

画像8

でもほら、日が出てくるとこの煌めき!

「笹が光ってるねぇ〜」

ベテランガイドさんの安心感もあるけれど
若手ガイドさんならではのこのフレッシュな感性
魅力だなぁと思う私。

田口さんのもともとのキャラも相まって
客の私たちと一緒になって、いやむしろ
私たちより先回りして、感動してくれるんです。

「もうすぐこんな景色が見えますよ」
「すごく綺麗だよね!!」

息子と一緒で遅々として進まないことに
ついつい不安を感じそうになっても
悠々と感動しているガイドさんの姿があると
私たちも安心できて・・・

「山いいっすねーー!」

とあっという間に感化されていきました。

画像14

画像9

そして、甘えん坊全開の3才坊やにも
ちょっとした仕掛けを用意してくれた田口さん。

「持ち帰ることはできないけれど、
 生き物をここにいれて観察してごらん」

と、透明のフタ付きタッパーを渡してもらった
息子くんは

バッタ!
ハンミョウ!

虫を見つけてはタッパーに入れて、にんまり。

「自然と対峙する。登頂する。
 山といえばそんなイメージが強いかも
 しれないけど、僕は
 それだけじゃなくていいと思っていて。
 山を歩きながら
 いろいろなことを感じ、発見する…
 そのプロセスも全部が山でいい。
 登頂はそのほんの一部。
 そういう風に、もっといろんな人に
 山を楽しんでもらいたい。
 そして、一生残るような
 思い出を作ってほしい。
 僕はその手伝いがしたいんだ。
 山はエンタメなんだよ。」

たしかに、山といえば過酷とか達成感とか
あるいは癒しとか
もっと楽しみ方が狭いイメージがあったかも。

自身を「アウトドア体験ディレクター」と呼ぶ
田口さんは安全管理と道案内だけじゃない、
山体験のトータルプロデュース
を請け負ってくれる人。

3歳児との山歩きに難儀する我々を
ほよん、と包み込みつつ、要所要所で
「山の歩き方レクチャーしまーす」
「装備の手入れはね・・・」と、
初心者にありがたい知識も
いろいろ話してくれる。

「山を楽しんで欲しい!」
という惜しみない愛が伝わってきました。

画像10

そんな愛のおかげでw
なんとかかんとか・・・車山に登頂!

山頂で休憩だやったー!

なんせ・・・ここまでね、
大人の足だと45分くらいで来れるところを
「抱っこぉぉぉ」「バッタァァァ」
対応していて
約4倍の2時間半もかかってもうてるんですわ。

うん、うん。
3才の息子くん、ほんとよく頑張ったよ。
でも、大人たちも頑張った・・・よね・・・

ということで早速、ティータイムです。
行動食のおかしをモグモグ。
そこで。
田口さんたら持参のコーヒーを
振る舞ってくれました。

画像11

山の上、湯気あげてるドリップ見ているだけで
なんか贅沢な気分。
振る舞ってもらうって、幸せよのう♫
景色見ながら、大人たちは至福のひととき。

その上さらにチビッコのお楽しみも。

画像12

田口さん手書きの冒険マップ!

画像13

「車山、山頂までこれましたー!
 おめでとうー!」

スタンプを押してもらって、息子もご機嫌です♫

■草紅葉とおんぶひもとカメラ小僧と

さて、しかし今回のルート、
車山登頂!がゴールでは無いのでやんす。
そこからまだまだ、霧ヶ峰を一周。
むしろ景色はここからが本番!

ところが

「安全を考えて、ピストンしますか」

田口さんの口から漏れた一言。

それってもしかして、
ここから今きた道を戻る的な意味ですか?

やっぱり、子どもと一緒は無理なんか。
予定のルート諦めなあかんのか。

安全第一・・・
退くも勇気・・・
でも・・・

そこで、父ちゃんが一肌脱いでくれました。
最後の手段だと思っていた、OMBU。
けっこう早めに登場したね。

うちの父ちゃん、
仕事でいつも重い機材を持ち運んでいる力持ち。
山で使える子ども用の背負子ではなく
普通のおんぶ紐で
約17キロの幼児を背負ってくれまして。

なんとか、予定のルート目指して再出発〜

画像15

車山山頂から、まずは下り道を降りて行きます。
目の前には雄大な景色!

画像16

「今回は、草紅葉を見て欲しかったんです」

と、ここで田口ガイドの熱い説明が。

草紅葉というのは、
そういう種類の草があるというわけではなく
湿原や高山の草原で
草や低木が赤や金色に色づいた景色のこと
なんだとか。

なんや優雅な響き。

大人三人テンション上がっちゃって

画像17

「ウフフ・・・アハハ・・・」

画像18

「ラン♫ランララランランラン♫」
(金色の野に降りたっちゃったもんだから)

お互いにカメラで撮影しまくる私たち。
実は、アウトドア体験ディレクターの田口さん
元テレビ業界、番組ディレクター出身。
そこ、微妙に ”かかってる” んです。

なので、山行を写真や動画におさめて
簡単に編集してプレゼントしてくれる
オプションサービスも考案中
だとか。
撮影関係の手配等もできます。

ちなみにうちの父ちゃんもTVの技術マンでして
だから力持ちだったのでした・・・。
ほんで私はこの通りフィルムカメラ小僧なので
「撮りたい」人しかいない山行。
映える景色を見つけると全員走り出す!
被写体がいない!
俺ら何やってんだ!
と笑いながらの草紅葉サーフィン。

こんな風に、
カメラ好きさんたちにもすこぶる優しい
田口さんツアー
なのでした。

■マインドフルでカラフルな山の空間を泳いでいく

画像20

画像20

なだらかな道を歩くこと数十分。
前方に蝶々深山(ちょうちょうみやま)
が見えて来ました。

「お子さんと一緒だから、無理しないのであれば
 蝶々深山の手前で左折して
 エスケープルートから
 スタート地点に戻ることもできます」

いざという時のB案C案を教えてくれるってのが
ガイドさんがいる心強さ
のひとつです。

でも、父ちゃん、頑張ります。景色見たいもの。
今回は、エスケープせず、
まっすぐ先を目指すことにしました。

ここで初めて、ちょっと「登山」ぽい
急角度の坂が現れました。
一気に苦しくなる私に、
すかさず山の呼吸法を教えてくれた田口さん。

深く緩やかな呼吸が
ヨガや瞑想のそれを思い出させました。

「山ってマインドフルネスなんですなぁ」

そう、このご時世だけど、山は密じゃない。
空気を思い切り吸って、お腹の底、
丹田まで入れてゆっくり吐いて。
今ここに「いる」自分をひたすら積み重ねる。
ゴール(登頂)のために通過するのではなく
一歩一歩の道のりを全部
噛み締めて、感じて、歩く。

「そうなんです。山はマインドフルネス」

良かった。田口さんも乗ってくれた。

ディスカバリーもマインドフルネスも
幅広いニュアンス完備してる山、ナイス。

「多様性」に萌えがちな私、どんどん
「山いいっすね」感化されていきます。

画像21

画像22

蝶々深山を登り切ると現れたのはこんな景色。

この賽の河原みたいのなんですか?

「これはケルンといって、
 元々は遭難者を助けるための目印として
 石を積んだもの。
 または、遭難死した人を
 慰霊する目的の場合もあります。
 後から来た人が遊びで真似して積んで、
 オブジェみたいになってたりします。」

なるへそ〜とうなずく横から

「こわしていーい??」

と積木扱いする3歳児に大人全員
「ダメぇぇぇぇ」とユニゾン。

一休みして、さぁ、先に進みます。

ここから先は・・・

「うわぁ」

ススキや色とりどりの草紅葉が
ひたすら広がる世界
点在する木々
少し遠くに見える山陵
緑、赤、黄、茶、白・・・

少しお椀型の平原の中を
草をかき分けるような気分で進む。
上を見ればまあるく一面の空。

「ここは映画『君の名は。』のモデルなんです」

田口さんの説明に納得。

画像23

画像24

画像25

画像26

ちょっとこのフィルム、青みがかってしまい
いまいちその彩りが伝わらないのですが・・・

画像27

画像28

刻々と、景色の変わるなだらかな山道を
登ったり下ったりしながら先へ先へ

すっかり紅葉した森の頭が
だんだん見えてきました。

画像29

画像30

実際に見ると、この背景の森が
かなーりの紅葉なんです。

「綺麗すぎる。桃源郷か。」

褒め称えながら歩く一行。
どんどん進んでいくといつの間にか
その森の中に足を踏み入れていました。

画像31

画像32

画像33

ずっと空の下にいたのが
木々の下に入って、水の音も聴こえて

「景色の多様性すごくないすかこのルート!
 山いいっすね!」

ますます感化されていく私。

「水、触ってごらん、冷たいよ〜」

3歳児に声をかけてくれる田口さん。

画像34

そして水から拾い上げた葉っぱを手に取り

「これはミズナラの葉っぱ。
 ミズナラの材はウィスキーの樽とかに
 使われるよ。」

ほほう。。。
葉っぱの種類にはまだ興味なしな3歳児。
お酒の話題になると興味が湧く大人。
植物の名前って、
なかなか覚えられないんですけど
教えてもらうと嬉しいのよねぇ。
またすぐ忘れるんだけどさ。

■ちょっと意外な歴史の話・・・鎌倉時代のフェスがここで?

画像35

Oh, this is KOMOREBI
日本語にしかないらしいですよ
「木漏れ日」てワード。
チラチラと葉の間から射してくるこの光を
思わず名付けてしまうほど
木の下から空を見上げてきたのね
私たち日本列島の住民は。

なんて歴史にも思いを馳せていると

「今日通ってきた草紅葉の平原を
 昔は鎌倉武士が駆け回っていたらしいです。
 というのも、この先に神社があって、
 鎌倉武士が
 “鎌倉幕府に忠誠を誓う会”を開いて
 武芸を奉納した
 とも言われている場所なんですよ」

?!鎌倉武士?!

君の名は。とか
ヨーロッパの高原地帯みたいやな。とか
賽の河原かい。とか

いろいろ思ったけど
「武士」も登場するんですかここ。

歴史も深いんですねここ。

霧ヶ峰おもろ。

じゃあこの先の、八島ヶ原湿原と
神社を目指していこう。

って、見て見て、ススキ野原に光がさして
キラキラ眩しい!

画像37

おおお・・・ウットリ・・・キュン・・・

画像38

「やわらか光萌え」気質の私のシャッター待ちで
みなさんを足止め

画像39

はい、お待たせしました、先行きましょう!

画像39

画像40

「八島ヶ原湿原は12,000年をかけて
 約8mの泥炭層が積み重なり
 今のかたちになりました。
 ここに生息するミズゴケは18種類。
 これは、八島ヶ原湿原の約490倍もの
 日本最大級の大きさを誇る
 釧路湿原とほぼ同じ種類の多さです。
 豊富な多様性を持つ生き物たちの姿が
 ここにはあります。」

※  八島ヶ原湿原は、1939年(昭和14年)に
 国の天然記念物の指定を受け
    国の文化財としても登録されています。

長い長い時間をかけて出来上がってきた
今ここに存在している自然の姿。
素敵・・・それに触れてみたい・・・
と思っていたのですが
湿原は中に入ることはできなくて
(そりゃそうだ、天然記念物だもの)
その存在を横目に感じながら
ススキの道を通り過ぎていきました。

画像41

おーなんか、ヨーロッパぽい(ミーハー)

画像42

だいぶ歩いたけど、足はまだまだ大丈夫。
田口さんの丁寧なアドバイスをもらって
事前に購入したシューズが役立ってます。

「でも昔の人は
 草履とかで歩いてたみたいですよ。
 草履、意外とすごいらしい。」

そうなんですかい、草履で山を?
足へのフィット感とか、すごいのかな・・・
試してみる勇気はない・・・けど
草履や足袋姿の武士を想像して進んでいくと

画像43

本当にありました。
鎌倉武士が集まった旧御射山神社。
ここで武芸を競い合い、飲めや歌えや・・・

鎌倉時代の「フェス」みたいなものかいな?
この山の上まで、
あちこちから馬に乗り馳せ参じた武士の群像劇
ちょっと想像しただけでかなりドラマチック。
今は私たち以外誰もいない
静けさに満ちた小さな社があるだけのここに
雄々しい男たちが集まった時代が
かつてあったのか。

自然であり文化であり政治であり神事であり
いろんな成分が少しずつ積もってきた
土地の記憶に触れる喜び

山の多面性、ほんとすごい。

■「山って人生!」だから面白い♫

しっかりお参りをして
そろそろ山歩きもラストスパート。

最後は黙々とスタート地点(=ゴール)を目指し
登り坂を歩いていきます。

はぁはぁ、少し息荒くなりながら登り続けて
ふと振り返ると

「今日歩いてきた道がぜんぶ見えますよ」

画像45

おおーここをずっと歩いてきたの?
すごーい、よく歩いたね私たち
たくさんの景色を見たね私たち
振り返ると、こんなに来たのかって感動するね

山歩きって、旅だね
旅って、人生だねー

ひとしきり、ベタだけど王道な感想が
心の底からこぼれ出てくる。

生きてるといろいろあるけど・・・
自分のダメさに打ちひしがれたり
八方塞がりに思えて動けなかったり
いろんな日があるけど
それでも一歩一歩進んでいる間

有無を言わさず
そこに存在することを許してくれた
厳しくも器のでかい山の世界
その深みをふっと感じた瞬間

自然よ、人間よ、自分よ、ありがとう✨

画像45

そしてついに、霧ヶ峰周遊、達成!
スタート地点に戻ってきました♫

おんぶされてた3歳児も
いっちょ前にグッジョブポーズ!
ずっとおんぶしてくれてた父ちゃん
ありがとうー!
3歳児との登山、要工夫!
これも学びでした。

いや〜田口さん、私たち親子の初山体験
とっても楽しい時間にしてくれて
ありがとうございましたー!

ここには書ききれなかったいろんなお話も
たくさん披露してくれた田口さん。

山岳ガイドさんのお仕事って
安全管理が第一だけど、
それだけじゃない山の楽しみを伝えたいっと
「アウトドア体験ディレクター」を名乗る
田口さんだからこその山体験。

ぜひまた行ってみたい!と思えました。

ピンと来た方はぜひ
PUTALI PEAKのイベントを
チェックしてみてください♫


(おまけ)

画像46

(「抱っこぉぉぉぉ」の直前風景)

まよるかが、想いのこもったお仕事に同行させていただき
その一部始終をフィルム写真に残し
こんな主観たっぷりのレポートにまとめて魅力をお伝えします。
お気軽にお問い合わせください♫

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?