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私たちの物語 The Story of Us

そろそろ、2021年の準備をする時期が来た。
書店には手帳コーナーがきらびやかに並び、新聞広告にはおせち予約の案内が登場するようになった。

かく言う私も、来年の準備をしている。正確に言うと、カレンダー販売の準備だ。
実は10月初旬には予約販売を開始している。

もっと言うと、今年の5月から早々と構想を開始していたのだ。
気が早いにも程がある、、と思われるかもしれないが、それにはもちろん、理由がある。

突然だが、多くの方と同様、私にとって2020という年は、歩みを少し止めて、足元を見たり、これまでの歩みを振り返るような時間だった。

特に、3月から5月の間は、ひとつひとつやってきたことを見直し、同時に、「私はこれからどんな道を歩んでいきたいのだろうか?」と繰り返し自問自答した時期だった。

向き合っていく中で、全てを一新しようと思った。
これまでのやり方、これまでの付き合い、これまでのしがらみ。
全て無に戻す、というか。
新時代において、過去のことは、誤解を恐れずに言えば、どうでもいい。

だからカレンダーも、今まで ”日々を照らす「お守り」の存在” を意識して描いていましたのを、変えたいと思った。
そんな中、今回制作に携わってくださったデザイナーの村松さんが「対話をして制作したらどうでしょう?」とおっしゃった。

「はっ!それだ!」とその瞬間からワクワクが止まらなくなった。
「対話と絵」を軸に活動している私にとって、それはとても自然な流れだった。カレンダーでそれをやる発想は流石になかったのだけども。

そして6月には、SNSを通じて対話の相手を募集開始。
題して"Coyomi Project"。↓

その結果、4日間で25名の方とzoomでお話をした。面識のある方とも、そうでない方とも。

参加くださった皆さん、地域は北海道から鹿児島まで、年代も50代の方から大学生まで、職業も農家、自営業、舞台俳優、会社員をしながら夢への道を歩んでいる方、家族のサポートに全力を尽くしている方、等々、、本当に多岐に渡った。


それぞれの人生の物語であったり、今大事にしていることや関心ごとを中心に、自由に対話を重ねていった。ただ、カレンダーを作る上で、私の中で欠かせないと思っている「ある問い」だけは全員の方にしました。それらすべての内容をギュッと凝縮し、この夏、12枚の作品に仕上げ、デザイナーの村松さんと来年のカレンダーとして姿を変えていった。

実際 手にとってもらったらわかるけども、一見、ただのカレンダーです。
奇をてらったデザインもない。

じゃあ、どこに想いを注いだのか。それを綴ろうと思います。

はじめに言うと、やっぱり私にとって、「対話」って大事なんです。
絵を描くこと以上に大事なのかもしれない。というか、大事なんです。詳しくは「絵描きである私が、絵を描くこと以上に興味のあること。」で書いているので省きますが、

まず、これまでの生い立ちから私は、人間には表面的な違いがたくさんあるけれども、それを乗り越えて、共生できる者たち同士だと思っているということ。でも、そのためには、互いに違いを認め合うことが必要だということ。そして、その手立てとなるのが「対話」だということ。

「対話」という言葉にすると、大袈裟に感じるかもしれないけども、普段、私たちは、自分との対話をしながら、自己理解を深めていっている。それは脳内で繰り広げられるものかもしれないし、日記に書き殴ることなのかもしれない。

でも。「対話」って、本当は自分を含めた人間だけではなく、あらゆるものとできるものだと私は思っている。

そして、こうも思う。このカレンダーを手に取ってくださった方が、カレンダーを見るたびに、自ずと自分と対話できる時間があるといいな、、と。慌ただしい毎日や、不確定な未来への不安のなか、ホッとできるひとときや一歩踏み出す勇気を持てたらいいな、と。
絵の力って底知れないと私は信じているので、なかなか原画を飾るということができない状況でも、カレンダーを通して、それを実現してもらえたらいいな、と勝手に願っています。

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今回のカレンダー、デザイナーの村松さんのおかげで、自分の軸を形にしたカレンダーに仕上がりました。
次の年は次の年で、また改善点が出てくるのだろうけども、今の精一杯を出しましたし、このCoyomi Projectは来年以降も続いていきます。

この世界には本当に多種多様でいろいろな人がいて、いろいろな職業人がいて、いろいろなバックグラウンドを持っていて。
共通点なんて一見なさそうな方たちの話を聞いている中で、見つけた核。

「表層的には違っていても、根本では一緒だ。」
それを絵にした12枚。それがCoyomi Calendarです。

そう、それは、私たちの、物語。



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