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COPとか、京都議定書とか、パリ協定とか。よく聞く環境キーワードをおさらいしてみた。

スウェーデンの環境活動家であるグレタ・トゥンベリさんが、今年開催予定の1年ぶり開催となる環境会議COP26に不参加を表明したとニュースになっている。不参加理由はCOVID-19のワクチンが発展途上国をはじめ平等に行き渡っていないのに(つまり参加困難な国があるのに)開催するのは不公平という主張だ。なぜ不公平なのか?を捉えるため、COPが何なのか、気候変動枠組条約締結国会議のこれまでの流れのおさらい的なものを自分の備忘録かねてざっくりとまとめてみる。ついでに京都議定書やパリ協定、よく聞くキーワードも散りばめておきたい。

COPって何?1992年のブラジル・リオまで遡る・・・

1992年のブラジル・リオで行われた通称リオ会議、正式には「環境と開発に関する国際会議(UNCED)」と言う。このUNCED自体も1972年から続くものだが、とにかくたくさんの国と団体が集まったのがこのブラジル開催で、ここで「気候変動枠組条約」が締結となった。そのままだけど、地球温暖化問題に関する、国際的な枠組を示した国際条約であり、155カ国が参加したそうだ(日本も!)。

この「気候変動枠組条約」の締結国会議が、通称COPだ。

このCOPは、毎年開催地を変え、第3回の京都開催(COP3)、第21回のパリ開催(COP21)に締結された気候変動に関するお約束ごとが「京都議定書」と「パリ協定」だ

京都議定書がすごいところ。

とりあえずは、先進国に温室効果ガスをこれだけ削減する!という目標を初めて課しただけでもこの議定書は評価されるところ。2008年から2012年の間に1990年の排出量より先進国全体で5%削減すること、さらにそのために各国の目標が課された。

興味深いのが、採択はここでされているけど、発行(国際的公約として効力を持つ状況)がなされたのは2005年というところ。1997年から8年もかかっている・・・。理由としては、国に持ち帰って各国の機関で合意をとる(批准と言われる)わけだけど、批准国全体の1990年の排出量が対象国の55%を締めていなければならない、というルールがあったため、排出量が大きいアメリカが政権交代で批准するしないのすったもんだがあって結局批准しなかったため、ロシアが入るまで発行されなかったのが背景にある。

ちなみに京都議定書の日本の目標は6%削減。これは達成している。いま京都議定書は第2の約束機関に入っているが、そこは先進国だけで途上国が入っていないという理由で日本は参加していない。そして、これはいまだ発行に至っていない。

続いてパリ協定。

パリ協定の面白いところ!今回は発行が翌年とスピーディ!

パリ協定はCOP21(2015年)に制定された。産業革命前からの世界の平均気温上昇を「2度未満」に抑える。加えて平均気温上昇「1.5度未満」を目指す。この目標のために各国が2030年まで(一部2025年までとしている国もある)の削減目標を決めた。削減目標が設けられているが、罰則はない。日本はこの時に2030年までに2013年比で26%削減という目標を提示している。

パリ協定が画期的、と言われる点は次の2点。

★発展途上国も参加した。

★トップダウンではなくボトムアップで目標を制定(各国自身が作成、提出)
※京都議定書はトップダウンだった。

★2015年に制定、2016年に発行というスピード感!
今回も55%の国が批准しなければならないルールがあったが、オバマ大統領が中国を説得したとか。

COP3とCOP21。だいぶ間が空いているけど、、、なぜ?

荒っぽく言うと、国同士の間でみんながいいよ、という同意がとれなかったということだ。COP3の温室効果ガスの削減は「先進国」のみに課されている。COP21は「発展途上国」にも課された。この経済発展と制約との調整に18年もかかったと言ってもいいのではないか。

ワクチンが出回ってないと不公平というのは、このあたりの背景もあるのだろう。先進国、発展途上国、いやそういうグルーピングだけではないだろうが、それぞれの国事情、政治と密接な関係にあるのが気候問題だからだ(国とか政治とか言ってられないぐらいに残された時間はないのだけど)。

国連気候サミットって?

COPと同じぐらい良く聞くのが、国連気候サミットではないかと思う。2014年より開催されている国連が主催して開く環境のサミットだ。2019年に冒頭のグレタさんが参加したのは記憶に新しい。これもざっくりと説明するが、COPは気候変動枠組条約の締結国のみんなで国際的な契約や政策について話し合うのに対して、サミットは実際の取り組みなど事例紹介したりするプレゼンテーションの場として位置付けられているようだ。

COVID-19の影響で2020年は2021年11月の開催に延期された。その代わりというわけではないが、国連気候サミットは昨年も12月12日(パリ協定から5年後)にオンラインで開かれ、日本も参加している。

そして今年やってくる、2年ぶりのCOP26。日本のパリ協定で定めた26%削減目標に対して、少ないという声もあがっているようだが、どういう会議になるだろうか?


関連文献

気候変動枠組条約
https://unfccc.int/
京都議定書
https://unfccc.int/resource/docs/convkp/kpeng.pdf
パリ協定
http://unfccc.int/resource/docs/2015/cop21/eng/l09r01.pdf



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